第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

デジタルオーラルI(OR29)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患 1

指定討論者:平田 拓也(京都大学医学部附属病院)
指定討論者:高月 晋一(東邦大学医療センター大森病院 小児科)

[OR29-4] エポプロステノール使用患者におけるブロビアック/ヒックマンカテーテルの閉塞

岩朝 徹, 山田 修, 黒嵜 健一 (国立循環器病研究センター 小児循環器内科)

キーワード:肺動脈性肺高血圧, エポプロステノール, カテーテル閉塞

肺動脈性肺高血圧患者に対するエポプロステノール持続静注療法中のトラブルの一つにカテーテルの閉塞がある。当科ではこの3年で6回の閉塞を経験したため、閉塞に関与する因子を解析した。 対象は2000年4月1日から2020年12月31日までにヒックマンあるいはブロビアックカテーテルを用いて在宅エポプロステノール持続静注療法を施行した15例・延べ43本のカテーテルとした。 IPAH/HPAHへの使用が35本、CHD-PAHへの使用が8本で、Broviacカテーテルが11本、Hickmanカテーテルが32本であり、閉塞は7本で生じていた。閉塞以外を含んだトラブルまでの日数は19-6110日(中央値858日)であり、トラブル時の年齢は3.6-42歳(中央値20歳)であった。最多で一人で3回の閉塞を経験し、計4本でカテーテルの入れ替えを要したが、3本では入れ替えず内部穿通に成功した。 閉塞に関与する因子で有意差を認めたものは右鎖骨下静脈留置であることと、近年の常温投与可能製剤の使用(p<0.05)であった。カテーテル留置日数や閉塞時の年齢は有意な相関を認めず、長期留置が閉塞の原因となったり、カテーテルの扱いが難しい幼少児に発生しやすいとは言えなかった。 閉塞事例ではカテーテルが体外から皮下トンネルに移行する付近で内腔が狭小化しており、カテーテルの先端付近には狭窄・閉塞は認めていなかった。閉塞部の病理組織では細胞成分に乏しく、血液の逆流によるものではなく、常温保存可能となった薬液そのものが固まって閉塞している可能性が疑われた。※本発表は国立循環器病研究センター研究倫理委員会承認研究(承認番号M30-112)の派生研究として実施しています。