The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

デジタルオーラルI(OR29)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患 1

指定討論者:平田 拓也(京都大学医学部附属病院)
指定討論者:高月 晋一(東邦大学医療センター大森病院 小児科)

[OR29-5] 当院で肺移植を行った小児肺高血圧症例の検討

平田 拓也1, 福村 史哲1, 久米 英太朗1, 松田 浩一1, 赤木 健太郎1, 馬場 志郎1, 伊達 洋至2, 滝田 順子1 (1.京都大学医学部附属病院 小児科, 2.京都大学医学部附属病院 呼吸器外科)

Keywords:肺高血圧, 肺移植, 小児

【背景・目的】日本の移植施設集計では、肺高血圧は小児の肺移植の3大疾病の1つで、近年実施症例が増えてはいるものの十分ではない。脳死肺移植症例が少なく生体肺移植症例が多いが、肺グラフトが大きすぎると合併症が増えるため、小児の生体肺移植は困難を伴うことがある。そのため肺移植は適切なタイミングを見極めることが重要となる。そこで当院で肺高血圧に対して肺移植を行った小児例について、術前後の状態について比較検討した。【対象・方法】2010年より15歳以下で肺移植を施行した症例で、肺高血圧が原因であった8例を後方視的に抽出した。疾患はIPAH 4例、PVOD 2例、ACD 1例、TGA 1例。移植年齢7歳(3~15歳)で、男児3例女児5例であった。全例で肺高血圧治療薬が2~4剤投与されていた。移植は生体片肺5例、生体両肺2例、脳死1例であった。【結果】移植前平均Pp/Ps 1.39(0.97~1.8)、平均肺動脈圧 82.6mmHg(60~120)、平均肺血管抵抗 23.4 単位・m2(8.74~37.58)、 三尖弁逆流は中等度が5例、軽度2例、極軽度1例であった。移植後2~5ヶ月での評価では、平均Pp/Ps 0.31(0.24~0.41)、平均肺動脈圧 24mmHg(22~26)、平均肺血管抵抗 2.76単位・m2(2.36~2.98)、三尖弁逆流は評価できた全例軽度以下に改善した。術前認めていた肺動脈の拡大を肺動脈径/大動脈径で検討した結果、1.43から1.10に改善した。死亡例はTGA術後に合併した肺高血圧の1症例で、グラフトのミスマッチとそれに伴う肺水腫が原因であったと考えられた。7例は生存しており、1例が感染症で移植肺の機能低下を認めるが、6例は経過良好である。