The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Digital Oral

川崎病・冠動脈・血管

デジタルオーラルI(OR32)
川崎病・冠動脈・血管 1

指定討論者:三谷 義英(三重大学大学院医学系研究科小児科学)
指定討論者:小林 徹(国立成育医療研究センター)

[OR32-2] Syk阻害薬であるGS-9973は川崎病血管炎類似マウスモデルにおける血管炎発症を抑制する

浅川 奈々絵1, 大原関 利章1, 佐藤 若菜1, 横内 幸1, 三浦 典子2, 大野 尚仁2, 高橋 啓1 (1.東邦大学医療センター大橋病院 病理診断科, 2.東京薬科大学薬学部 薬学教育推進センター)

Keywords:川崎病, 動物実験, 血管炎

【背景】近年、川崎病では自然免疫系の病態への関与が注目されている。カンジダ・アルビカンス細胞壁由来糖蛋白を用いた川崎病血管炎マウスモデルでは、自然免疫受容体であるデクチン2によるαマンナンの認識が血管炎発症に不可欠である。デクチン2を介したシグナル伝達にはチロシンキナーゼの一種であるspleen tyrosine kinase (Syk)が関与し、本モデルでもSykが血管炎発症に関与するとの報告がある。現在、数種類のSyk阻害薬が知られており、これらは新たな血管炎治療薬の候補となる可能性がある。【目的】川崎病血管炎類似マウスモデルにおけるSyk阻害薬による血管炎抑制効果を明らかにする。【材料・方法】血管炎誘発物質250μg/日をマウス (DBA/2、4週齢、雄性)に連続5日間、腹腔内投与し、投与終了後3週間で犠牲死させた。Syk阻害薬としてGS-9973を使用し、1回あたり1mgのGS-9973を経口(po)または腹腔内(ip)にて1日1回、連日投与した。既報に従い汎血管炎発生率、炎症スコア、炎症範囲を各治療群と非治療群とで比較した。【結果】汎血管炎発生率は対照群:60% (6/10)、po群:9.1%(1/11)、ip群:0%(0/10)であり、po群とip群で有意な低下が見られた(p=0.047)。炎症スコアは、対照群:4.5±2.95、po群:0.8±1.78、ip群:0.5±0.53でありpo群とip群で有意な低下が見られた (p=0.001)。炎症範囲は対照群:2±0.82、po群:0.5±0.53、ip群:0.5±0.71であり、po群とip群で有意に縮小した(p<0.01)。【考察】Syk阻害薬であるR788は川崎病血管炎マウスモデルの血管炎発症を強力に抑制し、川崎病血管炎に対する新規治療薬の一候補となり得る可能性が示唆された。発表では、他のSyk阻害薬 (R788)による血管炎抑制効果や血清サイトカインの経時的変動等についても言及したい。