[OR32-3] COVID-19パンデミック後、愛知県岡崎市における川崎病患者の特徴
Keywords:COVID-19, 川崎病, 疫学
【背景】川崎病の発症機序は不明だが、感受性のある宿主に対して、微生物が引き金となる可能性が考えられている。一方、2020年はCOVID-19パンデミックにより生活様式が変化し、例えばインフルエンザやRSウイルス感染症といった小児患者における代表的な感染症が激減した。2020年とそれ以前の川崎病患者の特徴を比較することで、川崎病と感染症の関係性について検討した。【方法】2020年1月から12月にかけて、愛知県岡崎市市内で入院した川崎病患者85人と、2017年1月から2019年12にかけて同市内で入院した川崎病患者314人を後方視的に検討した。【結果】2020年における川崎病入院患者数(85人)は、2018年、2019年と比較すると減少していたが(それぞれ110人、120人)、2017年と比較すると変わりはなかった(84人)。2020年はアスピリン内服治療のみで後遺症なく治癒した症例が18/85人(21.2%)と、過去4年間で最も高率だった(2017年12/84人、14.3%; 2018年15/110人、13.6%; 2019年23/120人、19.2%)。免疫グロブリン追加投与を要した症例も16/85人(18.8%)と、過去4年間で最も高率だった(2017年13/84人、15.5%; 2018年15/110人、13.6%; 2019年19/120人、15.8%)。冠動脈後遺症が残った症例やSARS-CoV-2抗原陽性の症例はなかった。また、2020年の月間発生症例数を検討すると、COVID-19第1波後に休校措置が取られた3月、4月、5月(それぞれ5人、8人、4人)は、その前後(2月11人、6月13人)より症例数が少なかった。【考察】同一地域におけるパンデミック前後での川崎病患者の変化は、感受性が同じ宿主に対して、契機となる微生物が変化したことが一因である可能性や、川崎病において、感染症は引き金の一つであって直接原因ではない可能性が挙げられる。【結論】2020年における川崎病患者数は比較的少なく、アスピリン単独治療例と免疫グロブリン追加投与例が比較的多かった。