[OR36-1] 総肺静脈還流異常症術後肺静脈狭窄症に対するPV rehabilitation法の経験
Keywords:総肺静脈灌流異常症, 肺静脈狭窄症, 肺静脈ステント留置
総肺静脈還流異常症(TAPVC)術後の肺静脈狭窄(PVO)は10-20%に発症し,Sutureless repair等の治療が試みられてきたが,依然予後不良の合併症である.我々は, PVO解除後のre-PVOに対して経皮的肺静脈ステント留置を施行し,ステント内狭窄進行のために,外科的ステント除去に続くsize-upステント再留置(PV rehabilitation)を施行した2症例を経験した.【症例】1. 2歳,10kg,女児.生後1ヶ月時にTAPVC(IIa)に対して修復術施行.術後1ヶ月でPVO発症し,Sutureless repairを施行したが, 1ヶ月後にre-PVOをきたし,ステント留置を施行した.以後約2年間にわたりステント内狭窄に対して定期的な拡張を行い,狭窄が進行した2歳時にステント除去の方針となった.2.3歳,12kg,男児.Mixed type TAPVC(Ib+IIb)の診断にて生後9日目に修復術施行.PVOのために術後3,4,7ヶ月および1歳時に計4回のPVO 解除術を施行.その後のre-PVOに対し, 1歳3ヶ月時にステント留置を施行,同様に2年間ステント拡張を繰り返し,3歳時にステント除去の方針となった.【手術】増生した血管内膜に埋没したステントは,低出力の電気メスを用いて肺静脈壁を損傷することなく容易に剥離された.2症例で合計6本のステントが増生内膜ごと安全に抜去可能であった.著明な肺静脈拡大が得られ,肺動脈圧は有意に低下した.症例1は除去後4週間,症例2は6週間後にsize-upステント留置を施行し,以降はそれぞれ17ヶ月および5ヶ月間追加治療を要さずに経過良好である.【結語】TAPVC術後PVOに対して,乳児期早期は小径のステント留置および再拡大で体格が大きくなるまで待機し,幼児期に大径のステント再留置を意図して初回ステントの外科的除去を行うPV rehabilitation法はPVO根治的治療に対する一つの回答となる可能性がある.