[OR4-5] 動脈管早期閉鎖の周産期管理
キーワード:動脈管早期閉鎖, 周産期管理, 再開通
背景:PG合成阻害薬によらない動脈管早期収縮(PCDA)に対する周産期管理方針として、肺高血圧悪化を懸念して胎児診断後可及的速やかに娩出する方針を取る施設が多い。我々は、胎児心エコーと胎児モニター総合的に評価して、症例ごとに早期娩出および待機の方針を取ってきた。早期娩出の方針の是非について議論したい。対象:当院で胎児診断した13例。動脈管の形態的所見と動脈管血流のPulsatility Index 1.9を満たすものとした。診断週数は27~40週、平均36週、PG阻害剤の使用はなかった。脊髄髄膜瘤、水頭症、腸管拡張、双胎間輸血症候群、総肺静脈還流異常が合併していた。分娩:胎児心拍異常を認めた4例では早期分娩、3例は緊急帝切、1例は診断時点で陣発していたため経腟分娩。胎児心拍異常を認めなかった9例では分娩待機、連日胎児心エコーと胎児心拍モニターを評価した。待機中にPCDAを原因とした緊急帝王切開は1例もなかった。待機日数は4~49日、平均22日であった。出生後経過:早期娩出した4例中2例(50%)は高度のPPHNを合併し、人工換気、NO吸入療法などの集中治療を必要とした。他の2例はPPHNの合併なく、少量の酸素投与を3から4日間を要した。待機症例は全例でPPHNの合併はなく、短期間の酸素投与のみ必要とした。待機した9例中6例(67%)に動脈管が数日以内に再開通した。考案;PCDAは出生後のPPHNの重大なリスクファクターとされている。しかしながら、過去の文献上もPPHNに陥る症例は多くない。我々の13例のPCDAでも出生後に重篤なPPHNに陥った症例は胎児心拍異常を伴い、早期娩出した症例に限られ、胎児心拍異常を認めず待機した症例では1例もPPPHNの合併を認めなかった。また、待機中に67%の症例が自然開通した。結語: PCDAを早期娩出する方針は再検討する余地がある。limitation:本研究は一施設の少数例の後方視的な研究である。多数例の多施設共同の前方視的研究が必要である。