The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

多領域

デジタルオーラルI(OR41)
多領域 2

指定討論者:仁尾 かおり(三重大学大学院医学系研究科)
指定討論者:西宮 園美(国立循環器病研究センター 看護部)

[OR41-4] COVID-19による面会制限下における先天性心疾患姑息術後患児の家族への退院指導に関する一事例

西宮 園美, 濱野 理恵, 西川 由花, 前川 由紀子 (国立循環器病研究センター 看護部)

Keywords:先天性心疾患姑息術後患児, 退院指導, COVID-19による面会制限

【緒言】先天性心疾患を持つ子どもの初回退院時、子どもが安全に在宅で過ごせるよう家族に対し指導を行う必要がある。今回COVID-19による面会制限で、限られた時間で退院指導を行った事例を振り返り介入方法に示唆を得たため報告する。発表に関し家族の同意を得た。【事例】両大血管右室起始・肺動脈閉鎖を診断され、出生直後入院となった男児。第1子。日齢23日目にBTシャント術を施行し、日齢54日目に退院となった。心不全のため水分制限があり、啼泣時はチアノーゼが著明であった。【介入の実際】当院では感染対策のため事前に指定した1日1時間両親のみの面会であり、一度に入室できるのはどちらか一方に制限していた。コロナ禍で妊娠期の両親学級も中止となっており、両親には退院後の生活に対する不安があった。術前は一般的な育児手技を指導し、術後からは安静時と啼泣時の顔色の観察、啼泣が持続することの影響、内服投与や緊急時の対応といった疾患に合わせた内容を指導した。固定された面会時間では、ほとんど入眠していたため、啼泣している姿や、落ち着いて覚醒している姿など、様々な姿を見せることができるように面会時間の調整を行った。それにより母親は児の1日の流れを理解できた様子であった。退院後は看護外来へ継続看護を依頼した。家族は水分制限や啼泣を持続させないよう注意して関わることができ、児の状態も安定していた。【考察】COVID-19の影響で妊娠期に十分な育児指導が行われていないため、育児に対するイメージが乏しい状況にある。それに加え先天性心疾患を持つ子どもの家族は疾患を持って退院することへの不安も強い。これに対し繰り返し指導を行うため早期に退院指導を開始することが必要である。また、面会制限下で児と関わる時間が短い場合、多面的な姿を見せることによって全体像を理解できるよう指導し、退院後も継続して支援できるよう調整することが重要であると考える。