第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

複雑心奇形

デジタルオーラルI(OR6)
複雑心奇形 1

指定討論者:上田 秀明(神奈川県立こども医療センター)
指定討論者:新川 武史(東京女子医科大学)

[OR6-3] 肺静脈狭窄症に対するstent治療の効果と経過の検討

福嶋 遥佑1, 大月 審一1, 馬場 健児1, 近藤 麻衣子1, 栄徳 隆裕1, 重光 祐輔1, 平井 健太1, 原 真祐子1, 笠原 真悟2, 小谷 恭弘2, 岩崎 達雄3 (1.岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 小児医科学, 2.岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 心臓血管外科, 3.岡山大学大学院医歯薬学総合研究科麻酔・蘇生学講座)

キーワード:肺静脈狭窄, 先天性心疾患, 心不全

【背景】小児先天性心疾患の肺静脈狭窄は心不全や肺高血圧の原因となり依然として予後不良である。【目的・方法】当院で肺静脈にステント留置した症例(hybrid, catheter含む)の経過について検討した。2012年以降に当院でステントを留置した患者の経過を診療録から後方視的に検討した。【結果】対象症例は24例(うち複数施行が7例)、ステント留置回数は32回(hybrid25/catheter7)だった。形態学的肺静脈狭窄疾患合併症例(TAPVC, PAPVC, SV with intact IVS 含む) が20症例(80%)で、残る5症例のうち1例は肺生検後に先天性肺静脈狭窄と診断した。症例の内訳は単心室12例; Asplenia7, HLHS2, DORV1,Ta(2c)1, Large mVSD/TGA 1、 2心室12例;TAPVC11, CAVSD/congenital PVO1だった。Stent留置時年齢はmean3.2y(0.2-22)、留置時体重はmean10.4kg(3.0-52)だった。合計50病変に対して3.5mm×3、4mm×1、5mm×8、6mm×3、7mm×17、8mm×11、9mm×1、10mm×6を留置した。脱落した1例をのぞくと、ステント開存率は85%(41/48)だった。ステントに対するカテーテル治療介入は単心室9/12(未施行3例;重度狭窄、転居症例)、2心室9/12(未施行3例;ASD閉鎖、待機症例)に対して行った。初回介入時期は留置後median 4.8か月(1.0-23)だった。介入回数は単心室median4.8回(1-10)、2心室median7.7回(1-32)で高耐圧を含めた血管拡張バルーンで拡張した。単心室の生存率は75%(9/12)でTCPC3例, BDG4例、BTS2例(1例はBDG take down)、2心室の生存率は83%(12/19)でstent留置後平均肺動脈圧は33±13.6mmHg だった。【結語】肺静脈狭窄に対するステント治療は一定の効果があり生存率は比較的良好だった。一方で、循環維持のために留置後頻回に治療介入が必要な症例も少なくなく、肺動脈圧も高値であり今後の課題である。