[P10-5] 異常構造物によって機能的大動脈弁閉鎖となった左心低形成症候群の1例
キーワード:左心低形成症候群, 異常構造物, 機能的大動脈弁閉鎖
【緒言】HLHSの一部にcritical ASからの進行症例があり、胎児期早期からのASに伴う左室への後負荷がEFE変化をもたらし、左室内腔の狭小化へと繋がりHLHSへ移行する。左室から大動脈弁を抜けて腕頭動脈まで伸びる異常構造物により機能的にAAとなったHLHSの症例を経験したので報告する。【症例】前医にて在胎27週5日に胎児心エコー施行しHLHS (MS.AS)、心房間狭窄なしとの診断で当院へ紹介となった。当院は在胎34週0日に胎児心エコー施行しHLHS (MS.AA)と診断した。在胎38週4日に予定帝王切開にて出生体重2958g、Apgar 8/9で出生となった。経胸壁心エコーで、HLHS (MS.AA)、心房間狭窄なしと診断した。左室壁から大動脈弁を抜けて上行大動脈を通り、腕頭動脈まで細く伸びる索状の異常構造物を認めた。大動脈弁は弁構造を認めるものの、順行性血流を確認する事ができず機能的AAと診断した。また、左室壁を貫くVCCを認めたが、両側冠動脈は拡張期順行性血流を確認できた。異常構造物が腫瘍か血栓か不明であったが、冠動脈孔の閉塞や2次性の血栓塞栓の可能性を考慮して、日齢4に人工心肺下にて異常構造物除去および両側肺動脈絞扼手術を施行した。異常構造物は左室と腕頭動脈の血管壁に付着し白色で腱索のような索状組織であった。術直後は、大動脈弁は順行性血流が出現したが、徐々に順行性血流が消失して、再度機能的AAとなった。現在BDG手術待機中である。【考察】在胎27週時では大動脈弁通過血流はto and floであったが、在胎34週時では順行性血流は確認できなかった。また、左室心筋の輝度亢進もあり、異常構造物による大動脈弁狭窄からEFE変化を来しHLHSへ移行した可能性がある。【結語】2次性に大動脈弁狭窄を伴ったHLHSの症例を経験した。異常構造物の同定は現在も解析中であるが、文献的にも同様の症例はなく、情報共有した。