The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Digital Oral

画像診断

デジタルオーラルII(P12)
画像診断 2

指定討論者:武内 崇(海南医療センター)
指定討論者:大野 直幹(川崎医科大学 小児科学)

[P12-6] 新生児医による入院時心エコー検査の先天性心奇形診断に対する役割

前野 泰樹1,3, 前田 靖人2,3, 鍵山 慶之3, 寺町 陽三3, 家村 素史2 (1.聖マリア病院 新生児科, 2.聖マリア病院 小児循環器科, 3.久留米大学医学部 小児科)

Keywords:新生児科医, 心エコー検査, 先天性心疾患

【背景】新生児センター入院時に新生児医が心エコー検査を行なうことが、本邦の新生児医療の大きな特長とされている。これは先天性心疾患(CHD)の早期発見のきっかけともなりうるが、その診断の精度や判断について問題となる可能性も考えられる。【目的】当院の症例を後方視的に調査し、入院時心エコー検査の実情、利点・問題点について検討した。【方法】2018年1月から2020年12月の3年間に当院新生児センターに入院したCHD40例を対象とした。日齢、紹介の理由、SpO2などの入院時状況とCHDの診断状況をカルテより情報収集。新生児期に対応が必要なMajor CHDを中心に、入院時心エコーからの新生児医の初期判断の妥当性について検討した。【結果】Major CHDの15例は、TAPVR 4例、単心室(無脾症)3例、ToF3例、AVSD2例、HLHS1例、TGA 1例、DORV1例。11例は、SpO2の低下(8例)や21 trisomyなどの基礎疾患(3例)などCHDを疑われての入院依頼であり、緊急性のある6例は、正確に診断・判断されて小児循環器医へ引き継がれていた。一方、入院時にCHDを疑われていなかった4例では、2例は入院時にCHDが確認でき、特に重度新生児仮死で入院となった無脾症の症例では、その後の対応に大きく寄与した。一方、呼吸障害として入院した2例で、初回の検査でTAPVRが発見されておらず、酸素投与などによりSpO2が上昇したため呼吸障害が主体と判断され治療が開始されていた。臨床症状の経過からTAPVRを疑われ24時間以内に再度心エコーを施行し発見されて小児循環器医へのトリアージとなっていた。【結語】多くは入院時にSpO2の低下などからCHDをすでに疑われた症例であり、新生児専門医による心エコーで緊急度は的確に判断されていた。一方、積極的に疑われずに入院となった症例の中に、CHD早期発見により的確な治療につながった症例もあるが、呼吸障害が主症状となっているTAPVRの診断にはさらなる工夫が必要と考えられた。