[P15-5] 高度肺高血圧を合併した21トリソミー, ASD, PDAに対するAmplatzer piccolo occluderによる閉鎖経験
Keywords:PDA, 肺高血圧, Amplatzer piccolo occluder
【背景】Amplatzer piccolo occluderは未熟児・早産児用のデバイスとして開発・使用されているが、高度の肺高血圧(PH)を伴った乳児例での使用経験は少ない。【経過】在胎36週、体重2.0kgで出生し、出生後に21トリソミー、心室中隔欠損(VSD)、心房中隔欠損(ASD)、動脈管開存(PDA)、左肺動脈狭窄(LPS)、PHと診断された。生後3ヶ月(体重3.7kg)の精査でVSDはほぼ閉鎖していたがASDとPDAの複合短絡が残存していた。また、体血圧と等圧のPHがあり、肺血管抵抗は7.0 wood単位×m2と高値であった。ASD+PDAの一期的な外科的閉鎖に伴うPH crisisのリスクも考慮し、PDAのdevice閉鎖を先行する方針とした。Krichenko type FのPDA(径1.5、長さ7mm)に対してやや長めのAmplatzer piccolo occluder 5/6mmを経皮的に留置した。留置後は遺残短絡なくmigrationや左肺動脈狭窄の増悪もなかった。PDA閉鎖後に在宅酸素療法および肺血管拡張薬内服による肺高血圧治療を行なった。3ヶ月後の再評価で右室圧/左室圧比0.56、肺血管抵抗1.3 wood単位×m2と肺高血圧の改善を得られた。【考察】21トリソミーに高度のPHが合併したPDAに対して、やや長めのAmplatzer piccolo occluderをextra-ductalに留置することでmigrationを予防しながら閉鎖し得た。waist径+1~1.5mmとdouble discの直径が小さいdeviceを用いることで周囲血管への突出を最小限にでき、LPS合併例にも適していると思われた。ASD, PDAの複合短絡を伴う高度PHに対しても、PDAのカテーテル治療を先行させることで、安全かつ有効なPH治療を行える可能性があると考えられる。