The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Digital Oral

カテーテル治療

デジタルオーラルII(P16)
カテーテル治療 2

指定討論者:馬場 健児(岡山大学病院IVRセンター)
指定討論者:萱谷 太(大阪母子医療センター)

[P16-4] 当院での大静脈狭窄に対する経皮的バルーン血管形成術についての分析

吉田 賢司, 星野 健司, 古河 賢太郎, 西岡 真樹子, 百木 恒太, 太田 健, 河内 貞貴 (埼玉県立小児医療センター 循環器科)

Keywords:PTA, 上大静脈狭窄, CV長期留置

【目的】当院では近年手術件数が大幅に増加しており、そこに占める複合心奇形の割合も多く、術後長期間の集中治療管理を要するケースが増えてきた。これにあたりCV長期留置が必要になることも関係してか、近年術後の心臓カテーテル検査で上大静脈に狭小部を認め、経皮的バルーン血管形成術(以下Percutaneous Transluminal Angioplasty; PTA)を要する症例が散見される。今回PTA有効例と無効例でその成因やアプローチに差異がないか、比較検討した。
【方法】2017年1月から2020年12月までに当院で心臓カテーテル検査を行い、上大静脈や左上大静脈領域に形態的狭窄・有意な圧較差を認め、PTAを施行した14例を対象とした。これらに対して年齢・体重、心疾患の診断名、基礎疾患の存在、狭小部径やPTA手技などの項目を電子診療録より後方視的に分析した。
【結果】当院ではPTA用のデバイスとしてSterlingとConquestを使用していた。14例のうちPTA施行後に形態的狭窄の改善や圧較差の軽減、側副血行路への流量低下から治療が奏功したと判断したのは11例であった。PTA無効であった3例はSterling 2例、Conquest 1例、いずれもCV長期留置後の狭窄例だった。一方で術後の吻合部狭窄3例に関してはSterlingを用いていたが、いずれもPTAは有効であった。また今回の14例からは無脾症候群や多脾症候群を含めた基礎疾患の存在と治療効果との間には有意な関係性は見いだせなかった。
【結論】大静脈において、吻合部狭窄に比べるとCV長期留置後の狭窄に対してはPTAが無効であることが多かった。適切なサイズのデバイスを選択すれば、その種類によらず一定の治療効果は期待できる。