The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

カテーテル治療

デジタルオーラルII(P16)
カテーテル治療 2

指定討論者:馬場 健児(岡山大学病院IVRセンター)
指定討論者:萱谷 太(大阪母子医療センター)

[P16-3] 経皮的心房中隔欠損閉鎖術後に房室ブロックを生じ経皮的デバイス除去を行った2例

喜瀬 広亮, 藤井 隆成, 富田 英, 大山 伸雄, 清水 武, 長岡 孝太, 石井 瑤子, 石神 修大, 樽井 俊, 宮原 義典, 石野 幸三 (昭和大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センター)

Keywords:心房中隔欠損, 房室ブロック, カテーテル治療

【背景】経皮的心房中隔欠損閉鎖術は、外科手術と遜色ない治療成績と侵襲が少ないことから広く普及している。近年では治療対象が体格の小さい大欠損例へ拡大しているが、AVBの発生を確実に予測することは困難である。【症例1】6歳女児。116cm, 24.9kg。TEE上、欠損孔最大径は18mm、心房中隔長は29.4mm。リムは後縁および下大静脈がそれぞれ2.6mm、2.9mm。バルーンサイジング径 (BSD)は22mm、Amplatzer(ASO) 22mmを留置したが、左房ディスクによる大動脈への持続的な圧排がみられ、Figulla Flex II (FFII)21mmへ変更した。大動脈への圧排は軽減し治療を完了したが夜間から高度房室ブロック(aAVB)となり翌日閉鎖栓を回収した。回収時のTEEでは閉鎖栓による冠静脈洞(CS)の圧排がみられた。【症例2】4歳女児。106cm, 15.6kg。経胸壁心エコーで欠損孔最大径は22.4mm, 心房中隔長は33.1mm。TEE上、欠損孔最大径は22mm、リムは後縁、下大静脈、大動脈側がそれぞれ2.0mm、3.0mm、3.0mm。BSDが22mmで、FFII 24mmで閉鎖したところaAVBとなった。ASO 22mmへサイズダウンし、AVBを認めず治療を完了したが、翌日aAVBとなり閉鎖栓を回収した。回収時、閉鎖栓によるCSの圧排がみられた。【考察】経皮的心房中隔欠損治療後のAVBは、体格に比してデバイスサイズ(欠損孔)が大きい例が危険因子とされる。2016年以降、当施設の1.体重≦15kg, もしくは2.デバイスサイズ/体重≧1を満たす症例の検討では、対象は14例でaAVBは症例2のみで本例に特有の所見は発見できなかった。症例1はデバイス過大はなくCSおよび房室弁のリムが十分にあるがAVBを生じた。回収時に認めた冠静脈洞の圧排は房室結節への干渉を示唆する所見と思われるが、AVBを認めなかった13例中7例で同様の所見が認められており特有の所見とは考えがたい。治療後のAVBは依然予測が困難であり、体格の小さい大欠損症例へのデバイス閉鎖は慎重にその適応を判断すべきである。