[P21-1] 7日間ホルター心電図がVTの発見、治療強化に有用であったカテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)の15歳男児例
キーワード:カテコラミン誘発多形性心室頻拍, ホルター心電図, 失神
【背景】CPVTの治療効果判定やフォローアップには通常24時間ホルター心電図やトレッドミル負荷心電図(TMT)が用いられるが、日常生活で強い情動や怠薬によって稀に生じるVTの検出が困難な場合がある。近年、頻度の低い不整脈の検出において24時間ホルター心電図と比較して長時間(7日間、14日間)ホルター心電図が有用であるという報告が散見されるが、CPVT患者の管理に用いた報告は少ない。【症例】15歳男児。6歳頃から運動時の失神を反復した。10歳時にカテコラミン負荷試験で2方向性VTの誘発、RYR2遺伝子変異からCPVTと診断し、アテノロールを導入した。13歳時、授業中に失神しフレカイニド併開始用以降、失神は認めなかった。15歳時、登校中に失神前駆症状がありアテノロールをナドロールに変更した。合唱の練習中に失神したが、精査入院中のモニター心電図、24時間ホルター心電図、TMTでは単発のPVCすら認めず、ヘッドアップチルト試験陽性であったことから反射性失神と診断した。その後も失神前駆症状を頻回に認めたため7日間ホルター心電図を自宅で施行し、失神には至らなかったが土日夜間に2方向性VTを認め、怠薬が判明した。フレカイニドの増量および生活指導を行い再検した7日間ホルター心電図では、PVC 2段脈は認めたものの連発は認めなくなった。【考察】本症例は怠薬に加え、特に情動によってVTが誘発されたと考えられる。怠薬がなく、規則正しい生活をし、情動の変化が少ないため入院中には心室性不整脈が生じなかったと考えられるが、自宅での生活で情動の変化が激しい土日の夜間にVTが出現し、7日間ホルター心電図で検出可能であったと思われる。【結論】CPVT患者においてTMT、24時間ホルター心電図では特に情動に伴う心室性不整脈の検出が不十分となる可能性があり、その場合、治療効果判定やフォローアップには長時間ホルター心電図が有用であると考えられる。