[P21-4] 異なる経過の促進房室接合部調律の2症例
Keywords:接合部調律, 接合部頻拍, 頻拍源性心筋症
【目的】2019年 学校心臓検診ガイドラインでは促進房室接合部調律で心拍数60回/分以上は全例要精査とされているが、接合部調律のタイプについては言及されていない。今回、経過の異なる促進房室接合部調律の2例を経験したので報告する。【症例1】8歳男児。生後29日に1ヶ月健診で頻拍を指摘されたが、すぐに受診を勧められず、40生日に当科初診し心拍200台のnarrow QRS tachycardiaを認めた。食道心電図にて房室解離を認め接合部頻拍と診断。インデラル、フレカイニド内服にて頻拍は停止した。生後10ヶ月で頻拍再燃したが薬の増量で対処可能であった。以降は接合部調律ながら頻拍とならず、6歳で内服中止した。現在も房室解離、接合部調律は持続しているが、平均心拍は80-100で安定している。【症例2】18歳男性。4歳で感冒にて小児科開業医を受診した際に不整脈を指摘される。当科紹介され、narrow QRSながら房室解離を認め接合部調律と診断した。6歳 無症状ながら心エコーにて左室拡大とBNP 111.6と上昇を認め、頻拍源性心筋症の懸念からカルベジロールの内服を開始された。平均心拍は90-100で経過した。持久走は禁止していたが、17歳で10km走を走った際に気分不良となり救急車搬送された。以降は運動制限を継続している。【考察】接合部調律にもP波の形、位置によって冠静脈洞調律、房室結節調律などがあり、今回の2症例は房室解離を認め房室結節調律と判断している。フォンタン循環では接合部調律で循環動態が悪化した報告があるが、正常心で接合部調律が頻拍源性心筋症を起こすかどうかは報告が少なく、岡川は接合部調律のうち冠静脈洞調律と上室頻拍の鑑別基準として100回/分が一つの基準であり、80回/分では過大評価すると報告している。今後、接合部調律のタイプによっても、心房キックが心機能に及ぼす影響を検討していく必要があると思われる。