[P21-6] 右胸部誘導で QRパターンを示す小児Brugada症候群の一例
キーワード:Brugada, QS pattern, fever
【はじめに】生後6か月から18歳まで経過観察したBrugada症候群女子例で、安静時右胸部誘導QSパターンで、高位胸部誘導を含めBrugada波形を呈さない例を報告する。【症例】生後6か月、発熱を伴う心室頻拍で発症し、除細動、集中治療を要した。Brugada様波形を認めず、Troponin T=0.56ng/mlで心筋炎を否定できず、ベータ遮断薬を内服し経過観察した。4歳時に2回目の発熱時VT発作を起こし、その時にcoved型波形を認めた。遺伝子検査を行い、SCN5A変異T290fsX53を認め、Brugada症候群と確定した。この変異はNaチャネルの機能低下を認める。同様の変異を父親、弟に認めるが2名ともにBrugada波形も不整脈もない。当院直近に住んでおり、発熱時は直ぐに受診して心電図チェックと積極的解熱対策を行うようにした。以後VT再発はなく、8歳頃からV1-2誘導のR波が減高してQSパターンになり、安静時は高位胸部誘導も含めてBrugada波形を認めなくなった。発熱時はR波が再出現して高位胸部誘導でcoved型を認めたことがあったが、以後はそれも見られなくなり安定したので、11歳時に初めてPilisicainide負荷試験を行ったところVTが誘発された。その後キニジン予防内服を開始して、発熱時も含めてBrugada波形を認めていない。【考察】8歳頃から右胸部誘導QSパターンになって、発熱時とPIL負荷以外では、高位胸部誘導を含めてBrugada波形を認めない。思春期に入り安定したと考えたが、PIL負荷は陽性であった。T290fsX53の既報例はなく、右胸部誘導QSパターン、Brugada波形に乏しい、女子のみ発症、など特異な臨床像である。このようなケースで、既往歴や家族歴がない場合に学校検診心電図で拾い上げるのは難しい。【結語】右胸部誘導QSパターンのみでBrugada波形を認めにくい例を示した。