[P24-1] 気管切開を合併した小児開心術の経験
Keywords:気管切開, 縦隔炎, 開心術
【はじめに】 先天性心疾患を持つ患児の中には、気管軟化症を合併し術前に気管切開を置かれている患児を度々経験する。気管切開後の患児においては、縦隔炎など創部感染のリスクの上昇や、術後の呼吸器管理が難しいとされている。当院における気管切開を合併した患児における開心術の経験を供覧し文献的考察も加えて発表する。【対象】 2009年1月1日から2021年1月31日までに当院で施行された1356例の心臓関連手術のうち、13例において気管切開が手術時に置かれた患児の開心術症例数であった。手術内容は、全例人工心肺使用を使用し輸血も使用していた。単心室関係手術が4例、残りは2心室修復9例であった。【手術時の工夫】 手術では、創部感染予防のために以下の工夫をしている。1.術中の喀痰の飛沫などを防ぐ目的で、気管切開チューブは通常の挿管チューブ入れ替えを行い、気管切開口に絹糸で直接固定を行う。2.気管切開部と創部の空間を分けるために、覆布も3カ所絹糸で皮膚と固定し、術中の操作などで清潔な覆布が剥がれないように予防する。3.術前抗生剤を皮膚切開30分前までに投与を行う。4.術中操作終了後は500mlの生理食塩水で洗浄する。5.被覆材は密閉されるものを5日間貼付のままとする。【結果】 術後経過は全例生存し、縦隔炎を含めた創部感染は認められなかった。平均人工心肺使用時間は118分であった。LOS、脳神経合併症など主要合併症は認めなかった。フォンタン手術後1週間で導管内血栓を形成した症例において血栓除去手術が必要になった症例を経験した。【結語】 我々の手術マネージメントは気管切開後であっても感染などのリスクを上昇させない可能性がある。気管切開後のフォンタン手術では、気道内圧などの関係から血栓形成を生じ易くしてしまう可能性がある。