[P24-5] 一時的心外膜ペーシングリードの有用性の検討
キーワード:一時的ペーシング, 心臓血管術後, ペーシング留置
【背景】先天性心疾患術後で不整脈は頻度の高い合併症であり、一時的心外膜ペーシングリードが不整脈の診断や治療に有用である。一方でリード留置には感染、遺残、抜去時の心タンポナーデなどのリスクも存在し留置する症例の選別は重要な検討課題である。【目的】自施設でリードが留置されている症例を検討し、一時的ペーシング目的のリード留置が望ましい症例の特徴を明らかにすることを目的とした。【方法】診療録を用いた単施設後方視的観察研究で、対象は2019年8月から2020年2月までに心臓血管外科手術を行った症例としリード使用群(p群)と非使用群(n群)間での比較検討を行った。【結果】対象症例102人中95人(93.1%)にリードが留置され、p群は24人(23.5%)で全例が不整脈治療目的に使用した。その内訳は、洞性徐脈が12人、房室接合部調律が4人、房室ブロックが3人、心房性期外収縮が2人、異所性心房頻拍が2人、発作性上室頻拍が2人であった。背景疾患は多岐に渡った。また、不整脈発生時のvasoactive-inotropis sore(VIS)は中央値5.3 (4-6.4)、デクスメデトミジン(DEX)使用量の中央値は0.6μg/kg/hr (0.23-0.68)であった。p群とn群での比較では、人工心肺時間、CCU帰室時の乳酸値、挿管期間、ICU滞在期間に有意差を認めた(p<0.05)。リード留置期間の中央値は、8日(7-10)で、リード留置に伴う合併症は認められなかった。リード非留置例7人(6.9%)には、ペーシングを要する不整脈を呈した例はいなかった。【考察】全体の手術に対してリードの使用率は23.5%と高い。リード使用群の背景疾患は多岐に渡り疾患ごとでリードの必要性を検討することは困難であり、全例にリード留置を検討することも有益であると考えられた。【結論】先天性心疾患術後管理においてペーシングリードの使用率は高く、合併症の可能性も低いため術中のリード留置は有益性がリスクを上回る可能性がある。