[P26-2] 入院での心臓移植待機中に急性心筋炎に罹患した肥大型/拘束型心筋症の一例
キーワード:肥大型心筋症, 拘束型心筋症, 急性心筋炎
【症例】8歳女児。6歳時より易疲労感あり、小学校の学校心臓検診で心電図異常指摘され、精査にて両心房の著明な拡大と非対称性中隔肥厚を認め、肥大型および拘束型心筋症の混在型(HCM/RCM)と診断、内服治療開始された。TNNI3のミスセンス変異を同定。その後外来フォローされていたが、間欠的な嘔気、腹痛が次第に増悪、BNP 1000pg/mLを超え喀血も認めるため当院紹介となった。転院後ドブタミン、ミルリノン持続投与を開始し、移植待機登録となった。治療開始後、自覚症状や肺うっ血は改善しBNP 200pg/mL程度で安定して待機していた。入院から5ヶ月後、倦怠感、尿量減少、若干の血圧低下、心拍数の上昇、両頬および両上肢にレース状紅斑を認めた。BNP 1227pg/mLに上昇も、心エコー所見の明らかな増悪は認めず。当初は感染に伴う心不全増悪と考え利尿薬増量で対応していたが、発症3日後の採血でCKMB 21.3ng/mL、TnI 5636pg/mL、心電図にてQRS幅の増大と胸部誘導のST低下を認め、急性心筋炎を疑い同日心臓カテーテル検査を施行した。中心静脈圧、肺動脈楔入圧は発症前と比較し増悪、生検で心筋細胞障害像を伴うTリンパ球とマクロファージ優位の細胞浸潤を認め急性心筋炎と診断した。原因ウイルス同定には至らなかった。同日よりステロイドパルス療法とγグロブリン投与を行ない、1週間後には心筋逸脱酵素は正常化、心電図やBNPも発症前に戻った。発症3ヶ月後のカテーテル検査で血行動態の改善と炎症細胞浸潤の消失を確認。以降半年間に渡って心筋炎の再発は認めておらず、移植待機を継続している。
【考察】拡張型心筋症では、炎症の病態発症への関与が多く報告されているが、RCMおよびHCMの診断後に心筋炎に罹患した症例の報告はこれまで見当たらない。RCMやHCMでも経過中に心不全の急性増悪を認めた場合、心筋炎も鑑別に入れることが必要と考えられた。
【考察】拡張型心筋症では、炎症の病態発症への関与が多く報告されているが、RCMおよびHCMの診断後に心筋炎に罹患した症例の報告はこれまで見当たらない。RCMやHCMでも経過中に心不全の急性増悪を認めた場合、心筋炎も鑑別に入れることが必要と考えられた。