[P27-1] 心室頻拍を呈した孤立性左室心筋緻密化障害の新生児例
キーワード:孤立性左室心筋緻密化障害, 非持続性心室頻拍, 新生児不整脈
はじめに:左室心筋緻密化障害(LVNC)は心室壁の過剰な網目状の肉柱形成と深い間隙を特徴とする心筋症であり、心室頻拍(VT)を合併し致死的になることもある。また症状を呈し診断に至る時期や遺伝子変異の有無が予後に関連すると言われている。我々は、出生後にVTを発症し、心尖部に孤立性LVNCを認めた一例を経験した。症例:患児は胎児不整脈の指摘なく、帝王切開で在胎37週2日に3552gで仮死なく出生した。生後より心室期外収縮(PVC)があり次第に増加し、生後6時間に最大11連発の非持続性心室頻拍を認めたため、小児循環器専門病院へ搬送となった。 搬送後、エコーで心尖部に孤立性LVNCを認めた。PVCが多発し循環不全を合併したため異常自動能亢進が機序と考えデクスメデトミジンによる鎮静を開始したところ、一時的にPVCは改善した。しかし再度VTが出現したため、プロプラノールを追加し、次第に頻度は減少した。その後PVC/VTの増悪は認めず、日齢6にビソプロロール内服に変更し、PVC/VTは次第に消失した。日齢19に両親の同意を得て両親、同胞の心エコー検査に加えて、児と両親の遺伝子検査を提出した。日齢21に退院後、ビソプロロール内服を継続し、PVC/VTの再発や心機能の低下なく、発育は良好であり、遺伝子検査結果の結果を踏まえて治療を継続する予定である。考察:LVNCの死亡原因としてVTは重要である。また、新生児期のVTは基礎疾患を伴わなければ予後良好だが、LVNCを伴う場合には予後不良のことがあり、新生児のVTではエコーによる心筋性状の詳細な検索が重要である。さらに、LVNCでは遺伝子異常の違いにより家族発生の可能性や予後が明らかになりつつあり、LVNCが疑われた場合は家族を含めた心エコーによる詳細評価と遺伝子検査が重要となる。