[P27-4] フォンタン術後亜急性期に一過性の心室機能低下を認めた2例
Keywords:フォンタン手術, 心室機能, ストレス心筋症
【症例1】左心低形成症候群類縁疾患の男児。3歳5ヶ月時にフォンタン手術を施行した。左横隔神経麻痺がみられた。術後(POD)7日目にドレーンを抜去した。POD 16に左胸水の再燃が見られ、利尿剤を強化し、POD 28に左横隔膜縫縮術を施行した。POD 30にそれまでなかった広範な心室機能の低下と、左側胸部誘導でのT波陰転化が確認された。POD 31も心室機能に改善がなく、活気不良が疑われたためドブタミン 2γで開始し、翌日には改善傾向がみられ、POD 36に中止した。この間心筋逸脱酵素の上昇はなかった。以後も胸水が持続し、ステロイドおよびオクトレオチド療法後、POD 64に軽快退院とした。フォンタン術後半年後の心臓カテーテル検査では中心静脈圧 8mmHg、心室駆出率は42%と比較的安定した血行動態であった。【症例2】右室低形成を伴う房室中隔欠損症の男児。3歳6ヶ月時にフォンタン手術を施行した。POD 6にドレーンを抜去したが、少量胸水が残存したため利尿剤の静注を継続していた。POD 17に活気不良と、それまでなかった広範な心室機能の低下が確認された。また左側胸部誘導でのT波陰転化もみられた。ドパミンを開始し、改善傾向が見られたためPOD 22に中止した。この間心筋逸脱酵素の上昇はなかった。POD 31に心房頻拍が見られたためβブロッカーを開始し、POD 43に軽快退院とした。フォンタン術後半年後の心臓カテーテル検査では中心静脈圧 12mmHg, 心室駆出率は51%と比較的安定した血行動態であった。【考察】フォンタン術後亜急性期に一過性の心室機能低下を認めた2例を経験した。いずれの症例も術後に胸水治療のための利尿剤投与が長期化している状況下での発症で、比較的短期間で改善が得られた。原因は不明であるが、ストレス心筋症に類似した病態の可能性も考えられる。