The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

心筋心膜疾患

デジタルオーラルII(P27)
心筋心膜疾患 2

指定討論者:木村 正人(宮城県立こども病院)
指定討論者:犬飼 幸子(名古屋第二赤十字病院)

[P27-3] 化学療法中の発熱性好中球減少症に合併した敗血症性心筋症の2例~たこつぼ型心筋症との異同~

清水 大輔1,2, 宗内 淳2, 神代 万壽美1,3 (1.産業医科大学 小児科, 2.JCHO九州病院, 3.北九州総合病院 小児科)

Keywords:敗血症性心筋症, 発熱性好中球減少症, たこつぼ型心筋症

【背景】敗血症性心筋症(Septic cardiomyopathy)は敗血症性ショックの18~40%に合併する左室収縮機能不全の病態で、70-90%は死亡に至るとされる予後不良因子の一つである。細菌毒素やミトコンドリア機能不全などが背景と考えられるが原因は不明である。治療反応良好な敗血症性心筋症の小児2例を経験したので報告する。【症例1】B前駆細胞型急性リンパ性白血病の5歳女児。アントラサイクリン累積使用量79.8mg/m2。治療前の心機能は異常なかった。入院16日目に発熱性好中球減少症(FN)を発症、翌日にESBL産生大腸菌による敗血症性ショック(エンドトキシン:179.4pg/ml)を発症した。心電図で全誘導に陰性T波を認め、左室拡張末期径40mm・左室駆出率61%で左室全周性に壁運動が低下していた。BNP・トロポニンTは、1826.4pg/ml・0.045ng/mlであった。FNに対して抗菌薬変更とG-CSF投与、心筋障害に対して輸血と利尿剤の投与を行った。翌日には解熱し、壁運動も改善した。陰性T波は徐々に改善、2週間後に正常化した。【症例2】T細胞性急性リンパ性白血病の13歳男児。アントラサイクリン累積使用量90mg/m2。治療前の心機能は異常なかった。入院9日目にFNを発症、治療に奏功せず11日目に心窩部痛を認めた。心電図で全誘導のST上昇を認め、左室拡張末期径44mm・左室駆出率45%で左室全周性に壁運動も低下していた。NT-proBNP・トロポニンTは1033pg/ml・0.832ng/mlであった。循環不全なく、FNに対してG-CSF投与と抗菌薬変更を行った。13日目から解熱、15日目に壁運動も改善した。心電図所見は1週間後に陰性T波が出現し、4週間後に正常化した。血液培養および尿中ウイルス分離は共に陰性であった。【考察】治療反応良好な敗血症性心筋症の小児2例を経験した。比較的すみやかな心機能回復や心電図変化からはたこつぼ型心筋症に類似する点もあり、小児における敗血症性心筋症の中には成人と異なる病態が含まれるのかもしれない。