[P28-3] 拡張型心筋症の経過観察中に合併した収縮性心膜炎に伴う蛋白漏出性胃腸症の1例-心エコー図による右房機能の経過-
Keywords:収縮性心膜炎, 蛋白漏出性胃腸症, 右房機能
【背景】収縮性心膜炎(CP)による蛋白漏出性胃腸症(PLE)の発症に関する症例報告は散見されるが手術前後の右室・右房の変化を心エコー図により解析した報告はない。【症例】14歳, 男児.生後5ヵ月時に近医にて拡張型心筋症と診断され, 7歳時より当院に転医となっている. 8歳時にウイルス性心膜炎のため入院となり寛解を得た. 11歳時にPLEを発症し、以後3回の入院を必要としている.14歳時の心臓カテーテル検査では右室圧は明確なdip and plateauは呈さなかったものの平均右房圧は11mmHgでW型を呈し、心外膜周囲の石灰化を認めた。またCTおよびMRIでの著名な心膜の肥厚と石灰化を認めた. 同所見よりCPと診断した。PLE発症への関与が考えられ、同年に心膜切開術を施行した. 以後PLEの再燃はなく、術後8ヵ月の心臓カテーテル検査では平均右房圧は6mmHgと改善していた. 【心エコー】 術前の右室容積は51.4ml, 右房容積は39.3mlで, 狭小した右室と右房拡大を認めたのに対し, 術後8ヵ月後の右室容積は75.5ml, 右房容積は30.1mlと, 右室容積の増加と右房容積の正常化が得られた. 一方で, 下大静脈径は術前21mm, 術後8ヵ月目20mmと変化は乏しかった. 右房リザーバーストレインは術前15%であったが, 術直後(右室狭小と右房拡大は残る)から上昇を示し(20%), 術後8ヵ月目では22%となった. 【結語】拡張型心筋症の経過観察中にCPを合併し, PLEを発症した症例を経験した. 心膜切開術にてPLEは寛解し平均右房圧の改善を得た.術後の右房容積および右房リザーバーストレインは改善しており, これらは病態把握に役立つ可能性が示唆される.