[P3-7] 両心室心筋石灰化を認めたターナー症候群、大動脈縮窄術後の1剖検例
Keywords:myocardial calcification, Autopsy Imaging, Turner syndrome
【背景】心筋石灰化は稀ではあるが劇症型心筋炎や心筋梗塞後の異栄養性石灰化や全身代謝内分泌疾患における転移性石灰化の報告がある。大動脈縮窄症手術後に難治性気胸を繰り返し、敗血症性ショックによる多臓器不全で永眠した乳児の両心室心筋に広範な石灰化を認めたので文献的な考察を交えて報告する。【症例】7か月女児。在胎37週1日、体重2374gで出生。日齢1に大動脈縮窄、心室中隔欠損と診断されlipo-PGE1投与が開始された。翼状頸などの外表奇形から染色体検査でターナー症候群と診断。日齢8、脳梗塞が判明したため挿管管理のまま手術待機。日齢29、大動脈縮窄症手術(arch repair)を施行。術後気道出血を繰り返したため挿管管理が長期化した。生後3か月からは左気胸を繰り返した。生後5か月、左主気管支狭窄および軟化症による気腫性変化が原因と考えて下行大動脈行を背側へ変位させる Posterior Aortopexyを施行した。ESBL産性大腸菌によるseptic shockから多臓器不全となり、さらに両側気胸を繰り返して生後7か月で永眠された。死亡時のCTで生前のCTでは確認できなかった両心室壁の高吸収域を認め、病理解剖にて両心室心筋内に血流分布には合致しない広範な石灰沈着を伴う不整線維化を多数認めた。【考察】両心室に広範な心筋石灰化を認めた乳児剖検例を経験した。経過中、動脈血のイオン化カルシウム濃度は正常範囲内であった。胸骨圧迫などの蘇生を要する経過があり死亡前1か月はカテコラミン投与を要する病状が持続したことから心筋細胞の炎症・変性や壊死による異栄養性石灰化の可能性が高いと推察するが、同様の既報はなく極めて稀な症例と考えれられる。