第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

心不全・心移植

デジタルオーラルII(P30)
心不全・心移植 2

指定討論者:平田 康隆(東京大学医学部附属病院)
指定討論者:石田 秀和(大阪大学大学院 医学系研究科)

[P30-5] 2心室症例の右心機能不全に対するone and one half ventricular repair

前田 佳真, 小林 匠, 齋藤 美香, 吉敷 香菜子, 浜道 裕二, 上田 知美, 矢崎 諭, 嘉川 忠博 (榊原記念病院 小児循環器科)

キーワード:one and one half repair, 右心不全, 2心室

【背景】one and one half repairは純型肺動脈閉鎖症などの右室容積が小さい症例に対して行われることが多い手術であるが、当院では2心室症例における右心機能不全に対しても同手術を行っている。【対象】2015年1月から2020年12月までの期間に当院にて2心室からのone and one half ventricular repairを行った症例。【方法】診療録をもとに、術前後の右室および左室の容積、収縮能および拡張能、三尖弁輪径、肺動脈圧、中心静脈圧、NT-proBNPなどを後方視的に検討した。【結果】観察期間にone and one half ventricular repairを行った症例は5例。うち3例が2心室からのone and one half ventricular repairで、完全房室中隔欠損症(cAVSD)、大動脈弁閉鎖不全症(AR)、左心型単心室症(SLV)あった。[症例1]cAVSDで2か月時に2心室修復術を行い、17歳時にRVEDV185%ofNomal、EF54.2%、severe TRとなった。三尖弁置換術を施行したところ右心不全となりECMOから離脱できず、同手術を行うことでECMO離脱が可能となった。[症例2] severe ARで9カ月時にRoss手術を行った後に右心不全でRVEDV273%ofNomal、EF21%、severe TRとなり1歳7か月時に同手術を行った。術後に右心不全は軽減したもののCVP25mmHgの状態が続き、現在も治療継続中である。[症例3]SLVで7歳時にseptationを施行し、24歳時にRVEDV51.5%ofNomal、EF36%、severe TRの右心不全となり同手術を施行して右心不全は改善した。【結語】当院で右心機能不全に対して行ったone and one half ventricular repairは有効な治療戦略となりうると考えられた。ただし術後もCVP高値となる可能性もあるため治療前に十分な検討が必要である。また本手術の長期予後についての一定の見解はなく、今後も検討を続けてゆく必要がある。