The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Digital Oral

術後遠隔期・合併症・発達

デジタルオーラルII(P32)
術後遠隔期・合併症・発達 1

指定討論者:崔 禎浩(宮城県立こども病院)
指定討論者:松久 弘典(兵庫県立こども病院)

[P32-2] 先天性心疾患術後から乳び胸管理に難渋しリンパ管造影を実施したヌーナン症候群の乳児例

佐藤 逸美, 白石 真大, 辻岡 孝郎, 佐々木 大輔, 永井 礼子, 泉 岳, 山澤 弘州, 武田 充人 (北海道大学医学部 小児科学講座)

Keywords:先天性乳び胸, リンパ管造影, ヌーナン症候群

【はじめに】ヌーナン症候群は特異顔貌に加え先天性心疾患、凝固異常、リンパ管異形成等を特徴とする。乳児におけるリンパ管造影の報告は少ないが、リンパ管造影は本症候群の難治性乳び胸に対し診断、治療効果が報告されている。今回我々は内科的治療が無効な乳び胸を生じたヌーナン症候群の児に対しリンパ管造影が奏功した症例を経験したため報告する。【症例】4か月男児。出生後の心エコーで大動脈弁狭窄(AS)を指摘され入院となった。入院経過観察中に肺動脈弁弁上狭窄(SVPS)も顕在化した。生後より血小板減少を認めさらに顔貌と身体的特徴からヌーナン症候群を疑い、既知の疾患原因遺伝子を検索したが病的バリアントは検出されなかった。その後ASは進行しなかったが、徐々にSVPSの増悪を認め生後2か月で肺動脈形成術を行った。開胸時に乳び胸を認めた。術後SVPSは解除されたが手術直後より胸水量が多くドレーン抜去が困難であった。絶食、オクトレオチドやステロイド投与を行い胸水量は減少したがMCTミルクを開始すると胸水量は増加した。自己血による胸膜癒着術を複数回実施したが無効であった。長期絶食により胸水量は漸減したが経腸栄養が進められず、リンパ管奇形の精査および乳び胸に対する加療目的に当院放射線科医によるリンパ管造影を行い、右胸腔に分岐するリンパ管奇形を認めた。リンパ管造影施行後、胸水量は徐々に減少し最終的に消失した。経腸栄養再開後も胸水は再燃しなかった。その後もやもや病と診断され手術加療された際に一過性の少量胸水貯留を認めた以外は胸水の再貯留を認めず、通常のミルクを使用した状態で退院可能となった。【考察】乳び胸に対する治療法は未だ定まった治療体系が確立していない。リンパ造影は外科的治療と比較し侵襲が少なく、リンパ管奇形の精査にも有用であることから内科的加療が無効な難治性乳び胸に対して治療選択肢となり得る。