[P33-3] 単心室循環心疾患児への過度な横隔膜縫縮は重篤な体肺動脈側副血管増生の原因となりうる
Keywords:横隔神経麻痺, 体肺動脈側副血管, フォンタン
【はじめに】単心室循環を伴う先天性心疾患(SVCHD)において、横隔神経麻痺の合併はフォンタン手術の予後に起因することが知られており、一方で体肺動脈側副血管(APCA)の増生も肺動脈圧の上昇や心臓の前負荷となりフォンタン循環不全の原因となりうる。横隔膜縫縮術を施行したSVCHDの中で稀に重篤なAPCAを合併することを経験する。【目的】SVCHDにおいて横隔膜縫縮術後の重篤なAPCA合併のリスクを明らかにすること。【方法】2005年4月から2020年12月までに当院で施行した横隔膜縫縮術後の児のうち、単心室循環を伴うもの、且つその後の心臓カテーテル検査でAPCA評価が行われた症例が対象(両側横隔神経麻痺は除外)。健側肺動脈まで逆行する重篤なAPCAを伴ったもの(A群 n=3)、そうでないもの(N群 n=6)を後方視的に比較検討した。【結果】横隔膜縫縮術施行月齢の中央値はA群7ヶ月、N群10ヶ月。横隔神経麻痺合併手術はA群で姑息術1例、グレン手術2例、N群で姑息術2例、グレン手術2例、フォンタン手術2例。麻痺側はA群3例全て左側、N群右4例、左2例だった。横隔膜縫縮術直後胸部レントゲンの解析から、患側横隔膜位置はA群で第10肋間1例、11肋骨2例、N群で第9肋間1例、10肋骨4例、11肋骨1例とA群で低い傾向にあった。患側横隔膜直線長(a)と楕円頂点(b)との距離から求めた横隔膜湾曲度(b/a)はA群中央値0.046、B群中央値0.091とA群の横隔膜が直線的な傾向を認めた。【まとめ】重篤なAPCAを合併する症例では横隔膜縫縮術後の横隔膜位置が低く、直線的になっている傾向がある。過度な縫縮は避けた方がよい可能性があるが、症例数が極めて少なくさらなる検討が必要である。