[P33-4] 開心術後数日で発症したPostoperative encephalopathy with choreoathetosisの2例
Keywords:Post-pump chorea, 神経学的合併症, 開心術後
<はじめに>Postoperative encephalopathy with choreoathetosis(Post pump chorea)は人工心肺装置を使用した心内修復術後に生じるまれな神経学的合併症として報告されている。1961年に初めて報告されて以降、報告は散見されるが病態については不明な点も多い。今回我々はPost pump chreaと診断した心内修復術後神経学的合併症を生じた2幼児例を経験したので報告する。<症例1>移行型房室中隔欠損症の女児。心室中隔欠損症は小さく肺高血圧を生じず、年齢相当の発育・発達を認めていた。3歳6ヶ月一期的心内修復術を施行、術後3日目より発語消失、嚥下障害、術後5日目より舞踏様不随意運動を発症、頭部画像所見にても明らかな責任病変を認めずPost pump choreaと診断した。内科的治療ならびに療育指導を導入。現在術後1年6ヶ月を経過し知的障害は回復、不随意運動軽減が得られているが、歩行訓練中である。<症例2>修正大血管転位・肺動脈閉鎖症・心室中隔欠損症の女児。当院にてBTシャント、グレン手術を施行。SPO2 70%後半から80%前半の低酸素血症があるも、年齢相当の発育発達を認めていた。2歳6ヶ月開窓フォンタン型手術を施行。術後6日より発語消失、意識障害・嚥下障害出現し、翌日より四肢近位筋優位の不随意運動出現した。頭部画像所見にても明らかな責任病変を認めずPost pump choreaと診断した。現在療育訓練中である。<結語>Post pump choreaの報告は未だ少なく、発症に関するリスク要因は示されているものの未だ不明な点が多く確立された治療方法もない。今後症例を集積して合併症回避、発症後の治療について検討していく必要がある。