The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

術後遠隔期・合併症・発達

デジタルオーラルII(P34)
術後遠隔期・合併症・発達 3

指定討論者:萩野 生男(千葉県こども病院)
指定討論者:泉 岳(北海道大学)

[P34-3] フォンタン術後の鋳型気管支炎の2例

山下 尚人, 高村 一成, 原田 雅子 (宮崎大学 医学部 生殖発達医学講座 小児科学分野)

Keywords:フォンタン術後, 鋳型気管支炎, 蛋白漏出性胃腸症

【背景】フォンタン術後の蛋白漏出性胃腸症(PLE)や鋳型気管支炎(PB)は時に致死的となる合併症であるが、未だに確立した治療法が存在せず、治療方針や管理に難渋することが多い。当院で管理を行っているフォンタン術後PBの2例を報告する。【症例1】 14歳男児。診断はHLHS(MS,AS)。日齢9にNorwood(BT)手術、4か月時にBDG手術、3歳4か月時にフォンタン (EC 16mm)手術を施行。術後乳び胸あり。術後2年頃PLEを発症し、ヘパリン皮下注療法で軽快。ヘパリン漸減中の術後3年頃PLEの悪化及びPBを発症。ヘパリン皮下注療法の強化及びクロモグリク酸Na内服を追加し改善。その後高用量アルドステロン薬(AL)を追加しPLEやPBは寛解を維持。【症例2】8歳男児。診断はHLHS(MA,AA)。日齢17にNorwood(BT)手術、6か月時にBDG手術、4歳11か月時にフォンタン(EC 18mm)手術を施行。術後遷延性の乳び胸あり。術後2年PBを発症。SpO2低下のため気管挿管を施行したが、ショックとなり、VV-ECMO下に気管支鏡を施行。粘液栓を除去して呼吸状態は改善。その後も鋳型排泄を繰り返すため、気管切開術を施行。呼吸理学療法併用下に気管カニューレから鋳型の自己排痰を行っているが、PB再燃と軽快を繰り返している。【考察・結語】両者ともPB発症前のCVPは9-10mmHgと良好なフォンタン循環であった。両者とも乳び胸の既往があり、リンパ管異常の可能性が示唆された。両者ともに肺血管拡張薬内服も行っている。症例1はPLE合併例で、PLE治療としてのヘパリン療法や高用量AL療法が有効であった可能性がある。外科的介入、低脂肪食、ステロイド、組織プラスミノーゲン吸入、リンパ管塞栓などがPBに有効であるとの報告は散見されており、それらをまとめ今後の治療方針について検討したい。