[P34-4] 術後もしくは未修復の重症先天性心疾患患者の臨床経過と治療に関する検討
Keywords:先天性心疾患, 心不全, 重症
【緒言】重症先天性心疾患(SCHD)患者は目標手術到達の有無に関わらず、その後も様々な血行動態の異常を合併し治療に難渋する。【目的】目標手術到達/未到達SCHD例の学齢期以降の治療経過を明確にし治療の妥当性を検討する。【対象と方法】目標手術(Fontanを含む)到達例と未到達例を含め、2009-2020年に周術期以外でNYHA 2m/3に悪化した経緯のある学齢期以上の24例[二心室血行動態(BV)11例(二心室修復到達7, 姑息術2, 未修復2)、単心室(SV)13例(Fontan 9, BDG 4)]を対象とし臨床経過を検討。【結果】血行動態悪化時の年齢は、BV中央値27.0 (6.0-55.1)歳、SV 15.0 (1.3-40.4)歳。BVはPR/PS 6例, PH 3例, TS 1例, AS 1例で心不全悪化。5例は治療を要する不整脈を合併し、未修復2例は喀血を合併。一方、SVはPLE 6例, 導管狭窄1例, 高度CAVVR 1例で浮腫あり。5例が治療を要する不整脈を合併。5例がSpO2<70%の高度低酸素血症を、2例が高度腎障害を合併。また、3例(BV 2, SV1)は、膠原病, 糖尿病, 肺疾患など心疾患以外の因子が関与。抗心不全薬は全例に投与され、その他治療は、BVで外科治療3例(PVR 2, AVR 1), カテーテル治療(CI) 4例, アブレーション治療(ABL)2例, PM/ICD 2例、S Vで外科治療4例 (導管置換2, 房室弁置換1, PAB除去1), CI 4例, ABL 5例, PM/ICD 5例, 血液透析導入1例を施行。悪化後3.8年(0.8-10.0)年の観察期間で、2例が死亡(心不全悪化1、重症肺炎1)したが、15例(63%)のNYHAは改善/維持。高度低酸素血症を合併したSV4例(Fontan 1, BDG 3)にCI/姑息手術を施行し短期的には有効だった。【結語】学齢期以降のSCHDの病態は、心構造や心機能の異常に加え、不整脈, 腎障害, 肺疾患, 代謝疾患など複数の要因による複雑化がみられ、心疾患以外の疾患も含めた総合的な評価や治療が必要だった。未修復/ Fontan未到達例など根本的な回復が見込み難い例に対しても、カテーテル治療や姑息手術による効果は期待できる。