[P34-5] 当院における完全大血管転位症の大血管転換手術後の遠隔期成績
Keywords:完全大血管転位症, 大血管転換術, AP window
【背景】完全大血管転位症(TGA)の大血管転換術後(ASO)の合併症として肺動脈狭窄(PS)や冠動脈狭窄などが知られている。【方法】当院で1993年1月から2015年12月までにTGAに対してASOを施行され、術後5年以上経過している患者を抽出し、術後カテーテル治療や再手術を要していない非介入群(N群)とカテーテル治療や再手術を行った介入(I群)に分け比較検討した。【結果】対象患者は37人(男28人)、年齢は10歳9ヶ月(6歳0ヶ月-27歳8ヶ月)、観察期間は9年4ヶ月(5年3ヶ月-26年11ヶ月)。遠隔期死亡は認めなかった。N群は21人(男16人)、I群は16人(男12人)であった。N群は13例がPSに対してカテーテル治療を施行しており、そのうち1例は術後4年でPTCAも施行していた。PTAで改善を認める症例は術後2年以内に改善を認めていた。1例がPTA後にtraumatic AP windowを認めた。9例が外科介入をしており、8例が肺動脈形成術、2例がCABG、1例がAP window閉鎖術を施行した。RV圧/LV圧比はN群で全例0.5未満、I群で13例が0.5未満、3例が0.5-0.8。なお、術後初回の介入群のRV圧/LV圧比は4例が0.5未満、8例が0.5-0.8未満、2例が0.8-1.0、2例が1.0以上であった。左右肺血流は片側が7割以上であるものがN群2例、I群1例認めた。両群にAR/PRは有意差を認めなかった。介入群では1例NSVT, 2例AFLを認めた。【考察・結論】ASO後のPSは自己組織であり、既知の報告通り術後早期のPTAが有効であった。一方で遠隔期のPTAは合併症としてAP windowに注意しなければならない。2例に冠動脈狭窄を認めたが、治療介入することで良好な転機となった。