[P38-3] PGE1製剤にPDE-3阻害剤を併用することで動脈管閉鎖を回避できた左心低形成症候群
Keywords:動脈管開存症, PGE1製剤, PDE-3阻害剤
動脈管依存性先天心疾患に対して生下時からのプロスタグランジン製剤(PGE1製剤)投与は必須である。しかしながらPGE1製剤持続投与下でも動脈管狭小化が起こる症例を経験し、投与量の調整やPGE1-CD製剤への変更、ステント留置などが必要となる。今回我々は、PGE1製剤投与中の左心低形成症候群で進行性の動脈管狭小化を生じ、ホスホジエステラーゼ3阻害剤(PDE-3阻害剤)を併用することで動脈管閉鎖を回避できた症例を経験したのでここに報告する。
症例は日齢18の男児。左心低形成症候群に対して生後1日目で両側肺動脈絞扼術施行し、Lipo-PGE1製剤を5ng/kg/minで持続投与していた。日齢17に径6.4mmであった動脈管が日齢18に径3.0mmと狭小化し、CD-PGE1製剤 50ng/kg/minに変更するも径3.6mmまでしか拡大しなかった。CD-PGE1製剤に加えて、日齢19からPDE-3阻害剤(ミルリノン)0.1μg/kg/minから開始し、血圧低下がないことを確認後 0.2μg/kg/minまで増量した。驚くべきは、PDE-3阻害剤開始数時間後には動脈管径が約5mm、開始翌日には約6mmまで開大した。更には、PDE-3阻害剤を減量しても動脈管の再狭窄は認めず、開始18日目に中止可能であった。その後はNorwood術までLipo-PGE1製剤5ng/kg/min持続投与のみで動脈管径は維持可能であった。
PGE1製剤持続投与下での動脈管狭小化は、PGE1の慢性刺激による動脈管内膜肥厚作用が原因の一つと考えられている。一方、PDE-3阻害剤は動脈管内膜肥厚を生じさせずに動脈管拡張作用が持続する点で機序が異なり、両製剤併用使用の有効性が本症例から明らかとなった。本治療法の有効性について更なる症例の蓄積を期待したい。
症例は日齢18の男児。左心低形成症候群に対して生後1日目で両側肺動脈絞扼術施行し、Lipo-PGE1製剤を5ng/kg/minで持続投与していた。日齢17に径6.4mmであった動脈管が日齢18に径3.0mmと狭小化し、CD-PGE1製剤 50ng/kg/minに変更するも径3.6mmまでしか拡大しなかった。CD-PGE1製剤に加えて、日齢19からPDE-3阻害剤(ミルリノン)0.1μg/kg/minから開始し、血圧低下がないことを確認後 0.2μg/kg/minまで増量した。驚くべきは、PDE-3阻害剤開始数時間後には動脈管径が約5mm、開始翌日には約6mmまで開大した。更には、PDE-3阻害剤を減量しても動脈管の再狭窄は認めず、開始18日目に中止可能であった。その後はNorwood術までLipo-PGE1製剤5ng/kg/min持続投与のみで動脈管径は維持可能であった。
PGE1製剤持続投与下での動脈管狭小化は、PGE1の慢性刺激による動脈管内膜肥厚作用が原因の一つと考えられている。一方、PDE-3阻害剤は動脈管内膜肥厚を生じさせずに動脈管拡張作用が持続する点で機序が異なり、両製剤併用使用の有効性が本症例から明らかとなった。本治療法の有効性について更なる症例の蓄積を期待したい。