The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

周産期・心疾患合併妊婦

デジタルオーラルII(P38)
周産期・心疾患合併妊婦

指定討論者:藤原 優子(町田市民病院)
指定討論者:畑崎 喜芳(富山県立中央病院)

[P38-5] 周産期に循環管理を行った小児がんsurvivor 2例の経験

梶山 葉 (京都府立医科大学 小児科)

Keywords:アントラサイクリン系抗がん剤, 小児がんsurvivor, 周産期管理

【背景】小児がん治療成績の向上により、小児がんsurvivorの長期フォローアップが注目され、循環器領域ではアントラサイクリン系薬剤によるがん治療関連心機能障害(CTRCD)が重要である。【目的】当院での小児がんsurvivorの周産期管理を振り返り、その問題点を明らかにする。【対象/方法】当院で循環管理を行い妊娠出産に至った小児がんsurvivor 2例で診療録を用いて検討。【結果】症例1:15歳時に左大腿骨骨肉腫を発症。アドリアマイシン(ADR)換算で351mg/m2の化学療法を行った。その後再発なく24歳時に妊娠。整形外科的理由から選択的帝王切開術(C/S)にて妊娠38週で2566gの女児を出産した。妊娠15週より密な循環動態評価を行ったところ、妊娠27週よりLVEFの低下(49%)を認め、BNPは104pg/mlと上昇したため安静を指示。BNPは分娩直前には202pg/mlまで上昇したが、明らかな心不全症状はなかった。LVEF, BNPは分娩後速やかに改善した。症例2:14歳時に左大腿骨骨肉腫を発症。ADR換算で492mg/m2の化学療法を行った。その後再発なし。26歳時にジェットコースター乗車後Vfを呈しICD植込みを行った。33歳時に妊娠。妊娠27週に当院産科を紹介初診。Vfの既往のため選択的C/Sの予定であったが、妊娠35週で妊娠高血圧症候群、HELLP症候群を発症し緊急C/Sにて2382gの男児を出産した。分娩前LVEF 59%、BNP15.4pg/mlと良好であったが、分娩後LVEF 40% BNP379.9pg/mlと著明に増悪し肺水腫を呈した。症例1は産科医と小児循環器医が連携し、妊娠中期から定期的な管理を行いえたが、症例2は妊娠後期からの管理となり多科多種職との連携を急ぐ必要があった。【まとめ】小児がんsurvivorは周産期に心不全が顕在化する場合がある。がん治療医や産科、CTRCDに精通した循環器医の連携のみならず、周産期リスクに関する患者教育も重要である。