The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

デジタルオーラルII(P39)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患 1

指定討論者:加藤 太一(名古屋大学)
指定討論者:岩朝 徹(国立循環器病研究センター 小児循環器内科)

[P39-6] 当院における下行大動脈後方つり上げ手術の検討

青木 正哉1, 鳥塚 大介1, 東田 昭彦1, 寳田 真也2, 仲岡 英幸2, 伊吹 圭二郎2, 小澤 綾佳2, 廣野 恵一2, 市田 蕗子3, 芳村 直樹1 (1.富山大学医学部 第一外科, 2.富山大学医学部 小児科, 3.国際医療福祉大学)

Keywords:下行大動脈後方吊り上げ術, 気管軟化症, 気管支狭窄

当院における下行大動脈後方つり上げ手術の検討【背景】下行大動脈後方つり上げ手術(Aortopexy)は、大動脈再建手術後合併症として主気管支が狭窄した時に施行される術式のひとつである。しかし、その目的となる解剖学的な構造物は主気管支だけにとどまらない。近年、肺静脈の狭窄にも施行されることが報告されており、その適応範囲は拡大してきている。【目的】当科において大動脈後方つりあげ手術が行われた症例について検討し、解剖学的な問題点について考察を加える。【方法】2005年以降、大動脈後方つりあげ手術を9経験した。原疾患は、左心低形成類縁疾患2例、大動脈縮窄症7例(simple3例、complex4例)。先行手術はNorwood手術3例、EAAA5例(正中2例、左側開胸3例)、TCPC1例。大動脈後方つりあげ手術時の月齢は1~25カ月(平均7.5カ月)、男児6例、女児3例であった。目的となった解剖学的構造物は、左主気管支7例、左肺静脈2例であった。適応となった臨床所見として、抜管困難4例、喘鳴4例、フォンタン循環破綻による低酸素、左PVO解除1例であった。全症例、術前造影CTを行い、解剖学的な構造の評価を行った。【結果】手術死亡、遠隔死亡はともになし。手術時間は73分~232分(平均時間123分)であった。術後8例が抜管可能となり、術後第0日~13日(平均4日)であった。1例は術後2か月経過してなお人工呼吸器を要する18 trisomyの症例であった。下行大動脈後方つり上げに使用した糸は4本1例、3本5例、2本4例であった。同時手術は、左横隔膜縫縮術4例、左鎖骨下動脈クリーニング術が1例であった。術後追跡期間は4-168カ月であった(平均103カ月)。【結論】1)下行大動脈後方つり上げ術後、早期死亡は認めず、安全に行いうる。2)1名をのぞいて人工呼吸器からの離脱が可能であった。3)造影CTにより解剖学的な構造を把握することで、原因となる構造物が同定でき、手術が可能であった。