The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

染色体異常・遺伝子異常

デジタルオーラルII(P4)
染色体異常・遺伝子異常 1

指定討論者:山岸 敬幸(慶應義塾大学医学部 小児科)
指定討論者:金 基成(神奈川県立こども医療センター)

[P4-4] 当院における18トリソミー、13トリソミーの過去20年間の報告

高村 一成, 山下 尚人, 原田 雅子 (宮崎大学医学部 発達泌尿生殖医学講座 小児科学分野)

Keywords:18トリソミー, 13トリソミー, 高流量鼻カニュラ療法

【背景】18トリソミー(18T)、13トリソミー(13T)は心疾患や消化器疾患など様々な合併症を呈し、生命予後不良な重症の染色体異常である。近年18T、13Tの治療介入に関するエビデンスが蓄積されつつあり、手術を含む積極的治療を考慮されることが増えている。当院でも患児それぞれの状況に応じて治療介入を行うことにより自宅退院、長期生存症例を経験することが以前より増えている。【方法】2000年1月から2020年12月に当院で管理し予後を確認できた18T・13T児13例の臨床経過と予後を診療録から後方視的に検討した。【結果】18Tは8例、13Tは5例で全例フルトリソミーであった。在胎週数・出生体重は18T 30週5日-40週0日(中央値35週4日)・595g-2122g (中央値1486g)で13T 33週4日-39週4日(中央値34週2日)・1441g-2826g (中央値1968g)。全例に先天性心疾患を有したが全て高肺血流性疾患(VSD・ASD・PDA・CoA)であり1例に手術(動脈管閉鎖術)を施行、6例に消化管疾患を有し、3例に手術を施行した。気管切開を行った症例はなかった。2例は生存退院し、うち1例は在宅高流量鼻カニュラ療法(HFNC)で1年以上生存している。【考察】積極的治療を行う症例は年々増えているが、それでもHFNC導入前は生存退院できない症例が多かった。HFNCは2014年より本邦で広く使用され、現在は工夫次第で在宅でも使用可能である。13T・18T児の死因の多くは心不全単独ではなく呼吸不全や無呼吸発作であり、HFNCは中枢性無呼吸にも有効な治療手段と報告されている。在宅HFNCは彼らの在宅移行実現に大きく寄与する可能性がある。【結語】呼吸管理の多様化、集中治療の進歩、在宅医療的ケアの普及により、18T・13T児の管理は多様化している。保護者の価値観・意見を尊重した上で治療方針を検討する必要がある。