The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

デジタルオーラルII(P40)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患 2

指定討論者:土井 拓(天理よろづ相談所病院)
指定討論者:中山 智孝(高知赤十字病院)

[P40-1] 慢性肺疾患関連肺高血圧に対して、内服肺血管拡張薬は有効か?

桜井 研三, 長田 洋資, 中野 茉莉恵, 升森 智香子, 麻生 健太郎 (聖マリアンナ医科大学 小児科学)

Keywords:肺高血圧, 慢性肺疾患, 肺血管拡張薬

【背景】肺実質障害に伴う肺高血圧(PH)に分類される早産児の慢性肺疾患関連肺高血圧 (CLD PH) に対する内服肺血管拡張薬の有効性に関する報告は少ない。【目的】CLD PH患者に対するsildenafil投与後の推定肺動脈圧やチアノーゼの変化について検証すること。【方法】2010年から2020年の間に当院NICUで、sildenafilを導入したCLD PH患者(S群)8人と、controlとしてsildenafilを投与せずに管理したCLD PH患者(C群)8人について、投与前と投与後14日の時点におけるPHとチアノーゼに関するパラメータを診療録から後方視的に比較検討した。PHの指標としては左室短軸像内径縦横比(LV ratio)とその変化率を、チアノーゼの指標としてはSpO2値、FiO2値、SpO2/FiO2とそれらの変化率を用いた。尚、新生児遷延性肺高血圧 (PPHN) は対象から除外した。【結果】在胎週数は中央値25w3d(23w1d-28w2d)、出生体重は中央値669g(373-1046g)、sildenafil投与量は中央値1.8mg/kg/day(0.5-3mg/kg/day)であった。LV ratioはS群とC群で有意差を認めなかった(P=0.29)。SpO2値、SpO2/FiO2はいずれもS群で有意に低下し(P<0.01)、FiO2値はS群で有意に上昇した(P<0.01)。【考察】CLD PHに対する内服肺血管拡張薬は、肺動脈圧の低下を期待できる一方で、V/Q mismatchによりチアノーゼを増強させることが知られている。今回の検証においてはCLD PHに対するsildenafilの有効性は確認出来ず、チアノーゼの指標は有意に増悪した。【結論】CLD PHに対するsildenafilの有効性は限定的であり、導入には慎重な判断が必要と思われた。