The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

デジタルオーラルII(P40)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患 2

指定討論者:土井 拓(天理よろづ相談所病院)
指定討論者:中山 智孝(高知赤十字病院)

[P40-2] 小児肺高血圧症におけるselexipagの効果と副作用ならびに導入に影響を及ぼす因子の検討

長原 慧1, 大槻 彩子1, 山口 洋平1, 渡邉 友博1, 石井 卓1, 細川 奨1, 土井 庄三郎2 (1.東京医科歯科大学医学部附属病院 小児科, 2.国立病院機構 災害医療センター 小児科)

Keywords:小児肺高血圧, Selexipag, 心係数

【背景】Selexipagは経口投与可能なPGI2製剤で、成人での有効性は報告されている。しかし本剤の小児適応は無く、使用経験も少ない。【目的】小児および成人への移行期の肺高血圧(PH)症例におけるSelexipagの導入・増量の可否に影響する因子を検討する。【対象・方法】当院において20歳以下で Selexipagを開始した PH患者10例を対象とし、効果と副作用を検討した。また、1年以内に目標量に到達しかつ継続可能だった群(A群)とそれ以外の群(B群)に分けその背景因子についても検討を加えた。【結果】対象となった10例のうち他剤への切り替えのため中止した1例を除いた9例で検討した。Selexipagは全例で内服2剤との併用、または内服2剤へ追加する形で開始されていた。9例中6例でSelexipagによると考えられる副作用を認め、その内訳は顎痛、頭痛、消化器症状、羞明、甲状腺機能亢進症であった。Selexipag投与前後で比較すると6分間歩行・カテーテル検査結果にほぼ変化は見られなかった。1年以内に目標量に到達しかつ継続可能だった症例は5例であり、平均6.0ヶ月で目標量まで到達することができていた。この5例(A群)と残りの4例(B群)について検討したところ、Selexipag開始前の心臓カテーテル検査結果では、A群の心係数が高い傾向を認めた(A群:4.03±0.62 l/min/m^2、B群:3.03±0.74 l/min/m^2、P値 0.077)。平均肺動脈圧(A群:40±16.3 mmHg、B群:39.8±36.8 mmHg)ならびに肺血管抵抗(A群:8.72±4.60 U・m^2 B群:15.4±28.6 U・m^2)は両群間で差を認めなかった。副作用が生じた症例数はA群2例、B群4例であった。【結論】 Selexipagは若年者においても半数で速やかに目標量まで到達することができ、継続可能だった。Selexipagの速やかな増量と維持が可能な症例では心係数が高い傾向が見られた。一方、開始時の心係数が低い症例では副作用が出る事が多く、速やかな増量や目標量での維持が難しい可能性が示唆された。