[P43-2] 生ワクチン接種歴を有する川崎病患児におけるインフリキシマブ投与の安全性および有効性
Keywords:川崎病, インフリキシマブ, 予防接種
【背景】インフリキシマブ (infliximab; IFX) は抗TNF-αモノクローナル抗体で、川崎病の免疫グロブリン大量静注療法不応例に対する追加治療として保険収載されている。IFX使用上の問題点として、生ワクチン接種歴を有する患者では免疫抑制作用による感染症発現の可能性が挙げられている。そのためIFXを投与する際は、BCG接種から6か月、その他の生ワクチン接種から3か月以上の間隔をあけることが川崎病急性期治療ガイドライン で推奨されている。しかし、これまで生ワクチン接種からの期間とIFX投与の安全性に関するエビデンスは乏しい。【方法】 2011年1月~2020年12月に山口大学医学部附属病院小児科において入院加療を行った川崎病患者のうち、BCG接種から6か月またはその他の生ワクチン接種から3か月以内にIFX投与を受けた患児の臨床データおよび副作用の有無について後方視的に検討した。【結果】川崎病の入院患者365例中72例にIFXを投与した。3例にIFX投与前6か月以内のBCG接種歴、5例に3か月以内のその他の生ワクチン接種歴を認めた。BCG接種歴を有する3例はIFX投与時年齢11(6-11)か月、接種からIFX投与までの期間は117(70-114)日であった。その他の生ワクチンは、水痘2例、ムンプス1例、ロタウイルス1例、同時接種(麻疹・風疹、水痘、およびムンプス)1例であり、IFX投与時年齢16 (2-78) か月、接種からIFX投与までの期間は40日(14-76)であった。全例IFXが奏功し、冠動脈病変形成例はなかった。IFX投与後の観察期間61(13-92)か月において、皮疹(2例)を認めたが、ワクチン接種との因果関係は不明であった。【考察】生ワクチン接種歴を有する川崎病患者において、比較的安全にIFXを投与できた。今回の検討結果は単一施設における少数例に基づくものであり、さらなる検討が必要である。