第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

川崎病・冠動脈・血管

デジタルオーラルII(P43)
川崎病・冠動脈・血管 1

指定討論者:三浦 大(東京都立小児総合医療センター)
指定討論者:神山 浩(ひろ小児科ファミリークリニック)

[P43-4] 川崎病患者における腎機能障害の分析

阿部 正徳, 松井 亮介, 築野 香苗, 橋本 康司, 渡邉 誠, 上砂 光裕, 深澤 隆治 (日本医科大学 小児科)

キーワード:川崎病, クレアチニン, 腎機能障害

【背景と目的】川崎病は、全身性の血管炎で多臓器にわたり急性障害が認められる。腎臓に関しては無菌性膿尿の存在は認められているが、腎機能障害の有無に関してはまとまった報告が少ない。近年小児の血清クレアチニン(Cre)値のデータが纏められ、年齢ごとの基準値が報告されている。そこで今回、川崎病患者におけるCre値から腎機能障害の有無とそれに関連する因子が存在しないか検討した。【対象と方法】日本医科大学千葉北総病院に2016-2020年に入院治療した川崎病患者のうち、川崎病確定例および不全型(主要症状4項目以上)でIVIG治療をされた症例で月齢3か月以上8歳以下の48症例を検討対象とした。腎機能障害の定義としては日本小児腎臓病学会が作成した腎機能障害の手引きから年齢ごとの基準値(97.5パーセンタイル)を上回るものを腎機能障害ありと判断した。【結果】IVIG治療前のCre値は異常群/正常群(%)=11例(22.9%)/37例(77.1%), 一方、退院直前異常群/正常群(%)=11(22.9%)/37(77.1%)であった。治療前Creと退院直前のCre値を比較すると29例上昇/17例下降した。治療前のCre値異常群/正常群で2群に分類し、治療前の血液データ(WBC, Plt, GOT, GPT, T-Bil, BNP)で比較したところ、CRPのみがCre値異常群で優位に上昇していた。(P=0.0044)。退院前のCre値正常群(11例)/異常群(37例)ではIVIG追加された症例はそれぞれ、0例/3例で、関連は認められなかった。【考察】subclinicalな異常値ではあるが、川崎病自体での腎機能障害を示す症例が一定数あった。CRP高値の炎症反応が強い症例に腎機能異常が認められた。