[P43-5] 先天性心疾患に川崎病を合併すると、冠動脈合併症は増加するのか?
Keywords:川崎病, 先天性心疾患, 冠動脈後遺症
【緒言】2020年に「川崎病急性期治療のガイドライン(JSPCCS)」と「川崎病心臓血管後遺症の診断と治療に関するガイドライン(JCS/JSCS)」が改訂されたが、いずれも多くのエビデンスが蓄積されて来ていることの現れだと思われる。また、先天性心疾患(CHD)の救命率上昇に伴い、CHDを有する患者が川崎病(KD)に罹患すること(CHD-KD)を稀に経験するが、その治療/検査方法は手探りと言える。CHD-KDは冠動脈合併症のリスク因子になる可能性もあるが、いずれのガイドラインでもこの患者群については触れられていない。【目的・方法】CHD-KDにおける冠動脈合併症などについて後方視的に検討する。【結果】当院において、1977年から2019年までにCHD-KDは52例、非CHD-KD患者は1121例。CHD-KDにおいて、単心室は12例、二心室は40例。CHD-KDにおける急性期冠動脈病変は5例(10%)、冠動脈瘤は2例(4%)で、非CHD-KDと急性期冠動脈病変(75/1121例:6.7%)/冠動脈瘤(54/1121例:4.8%)のいずれの頻度も同程度であった。これは、2019年の全国調査の結果とも相違がない。外科治療を行ったCHD-KD(30例)では、16/30例しか経胸壁心エコー検査で、冠動脈を観察することが出来ておらず、冠動脈評価目的に心臓カテーテル検査を行なっていた。【考察】CHD-KDであっても、冠動脈病変の頻度は変わらないが、開心術を行ったCHD-KD患者においては、経胸壁心エコー検査のみでの冠動脈評価は不十分な可能性がある。【結語】先天性心疾患を有することは、川崎病患者において冠動脈合併症を増加させるリスク因子ではないと思われるが、その評価が難しい症例が存在する。必要に応じて、KD罹患後早期の心臓カテーテル検査が考慮される。