The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Digital Oral

川崎病・冠動脈・血管

デジタルオーラルII(P43)
川崎病・冠動脈・血管 1

指定討論者:三浦 大(東京都立小児総合医療センター)
指定討論者:神山 浩(ひろ小児科ファミリークリニック)

[P43-6] 東北大学病院小児科における川崎病に対する血漿交換療法の効果についての検討

黒田 薫, 大田 千晴, 大軒 健彦, 岩澤 伸哉 (東北大学病院 小児科)

Keywords:川崎病, 冠動脈病変, 血漿交換療法

【背景】血漿交換療法(PE)は,ガンマグロブリン療法 (IVIG)不応川崎病の最終治療とされているが,冠動脈病変(CAL)形成例におけるPE前後の臨床経過およびCALの予後については不明な点も多い.【目的】CAL形成例におけるPE前後の臨床経過およびCALの予後について検討する.【対象と方法】対象は2016年1月から2020年8月までに当院でPEを施行した川崎病14例.PE後CAL非形成 (CAL-) 群とCAL形成 (CAL+)群に分け,性別,年齢,診断病日,IVIG開始病日,PE開始病日,有熱期間,CAL改善の有無,PE前薬物選択について後方視的に検討した.結果は中央値と範囲,または平均±標準偏差で示した.【結果】CAL-群は8例(男:女=7:1),CAL+群は6例(男:女=4:2)で年齢中央値はCAL-群で2歳(3か月―17歳),CAL+群で8か月(4か月―3歳)であった.2群間で診断病日,IVIG開始病日,診断時の白血球値,CRP値,Fibrinogen値に有意差はなかったが,有熱期間はCAL-群10.5±1.4日, CAL+群15.7±4.4日,PE開始病日はCAL-群9±1.9日, CAL+群14.3±4.2日といずれもCAL+群で有意に長かった.CAL+群の5例全てが外来フォロー中にCAL改善傾向となった.PE前プレドニゾロン(PSL)投与割合はCAL-群13%,CAL+群83%とCAL+群で有意に高く,インフリキシマブ(IFX)投与割合はCAL-群38%に対しCAL+群0%であった. 【考察】CAL+群とCAL-群では診断時の重症度に差はなかったが,有熱期間およびPE開始病日はCAL+群で有意に遅かった.また,PSL投与例はCAL+群に多く,解熱まで時間を要していた.PSLそのものがCAL形成に寄与したかどうかは不明であるが, PSL投与の効果判定には日数を要すことが多いため,PE開始が遅れ有熱期間が長くなったた可能性がある.【結語】IVIG不応川崎病では治療効果判定を注意深く行い,10病日以内にPEを開始することが望ましい.CAL形成後であってもPEによって長期的なCAL形成を抑制できる可能性が示された.