The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

川崎病・冠動脈・血管

デジタルオーラルII(P45)
川崎病・冠動脈・血管 3

指定討論者:梶野 浩樹(JA北海道厚生連 網走厚生病院)
指定討論者:星野 真介(滋賀医科大学)

[P45-5] 出生直後に急性心筋梗塞を発症した男児

鈴木 大1, 前原 菜美子1, 六郷 由佳1, 木村 正人1, 小澤 晃1, 田中 高志1, 小泉 沢2 (1.宮城県立こども病院 循環器科, 2.宮城県立こども病院 集中治療科)

Keywords:急性心筋梗塞, 新生児, 血栓塞栓

【緒言】新生児期発症の心筋梗塞(AMI)は非常にまれである。原因としては冠動脈奇形、仮死などの低酸素状態、血栓塞栓などの報告があるが、いずれも非常に致死的である。出生直後にAMIを発症した男児を経験したので報告する。【経過1】症例は在胎37週0日、3498g、アプガスコア8/8、前医にて出生した男児。生後10分で全身性のチアノーゼを認めたため当院へ搬送となった。心エコーでLVは全周性にほぼakinesisで、MRはsevereであった。Aoからの順行性血流を認めず動脈管依存性体循環と判断し、プロスタグランジン製剤を開始した。LCA血流がto and fro patternとなっており、冠動脈イベントを強く疑い緊急で心臓カテーテル検査を施行した。【カテーテル所見】大動脈造影ではLADが完全に途絶しており、内部に陰影欠損を認めた。LCX、RCAは正常で、側副血行路を認めなかったことからLADのAMIと診断した。選択的にLCAの造影を試みたところ、LAD内の陰影欠損の消失とLADの末梢までの開存が確認され、その後LVの収縮は改善し血圧は上昇した。【経過2】LVの収縮はその後再び悪化し、PDAはRLシャントで、心房間交通の制限によるミキシング不良から下肢のSpO2は極度に低値となった。そのためV-A ECMO導入、PDA ligationを施行した。しかしその後ARが増悪し、おそらくLA圧上昇によると考えられる肺うっ血による肺出血を来した。LVのunloadingが必要と判断しLAベントを挿入したものの、循環動態の改善には至ることなく日齢3に死亡した。【まとめ】新生児期早期に冠動脈の閉塞を造影で確認できた稀な症例である。新生児の急変、死亡の原因としてAMIは鑑別にあげる必要がある。