[P45-6] 乳児期早期に左冠動脈移植を実施したFallot四徴症に合併した左冠動脈肺動脈起始症の1例
Keywords:Bland-White-Garland症候群, Fallot四徴症, 冠動脈
【背景】左冠動脈肺動脈起始症(ALCAPA)は心内構造異常を合併することは稀である。一方、Fallot四徴症(TOF)では前下行枝右冠動脈洞起始を含む冠動脈奇形を5%に合併する。【症例】女児。在胎39週5日,出生体重3148g,出生後心雑音から心エコー図でTOFと診断し前医NICUへ入院した。順行性血流は十分であり、SpO2 96%であった。生後1週間頃より哺乳時頻脈と浮腫が出現し、心電図では胸部誘導でST低下、心エコー図で左室駆出率低下(48%)を認めた。肺動脈内に異常な連続性血流がみられたので、ALCAPAの疑いで日齢20に当院へ転院となった。心臓カテーテル検査では肺体血流比=4.19と高肺血流であったが、肺動脈圧26/7(15mmHgと肺高血圧はなかった。心室中隔欠損経由での大動脈造影では右冠動脈から側副路を介して逆行性に左冠動脈、主肺動脈が造影された。肺動脈弁輪径 6.0mm(Z値-2.71)、心室中隔欠損は漏斗部欠損型で右室流出路筋性部狭窄は軽度にとどまっていた。中等度の僧帽弁逆流も認め、後乳頭筋エコー輝度の上昇があった。血便のため精査を加え、リンパ濾胞増殖症と診断後、状態の安定を待機して、日齢64に左冠動脈移植術を実施した。術後、虚血症状や心電図変化は改善し、SpO2 98%、右室流出路狭窄進行もなく無酸素発作はなかった。退院時左室駆出率63%、僧帽弁逆流軽度であった。造影CT検査で左冠動脈入口部の血流は良好であることを確認し、日齢92に退院した。【考察】一期的修復か二期的修復(冠動脈移植を先行させ、後にTOF心内修復を実施するか議論があった。心内形態から右室流出路狭窄は軽度にとどまり無酸素発作のリスクが低いと判断し、比較的肺体血流比が均衡状態になると推測したため、二期的修復を選択した。個々の症例に応じて判断することが望ましいと考えた。