[P49-1] 二心室治療戦略における大動脈弁への両側肺動脈絞扼術の影響
Keywords:二心室治療, 両側肺動脈絞扼術, 大動脈弁
背景: 心室中隔欠損(VSD)を伴う大動脈離断(IAA) /大動脈縮窄 (CoA)では狭小大動脈弁などにより、二心室修復の判断に苦慮する症例がある。両側肺動脈絞扼術(BPAB)は判断の猶予を得る目的で施行される場合がある。しかし、BPABによる血行動態の変化が大動脈弁に与える影響は明らかにされていない。方法: 2000年1月から2019年12月までに当院でVSDを伴うIAA/CoAに対してconventional repair (CR) 前にBPABを先行した13例を対象とした。後方視的にBPAB前からCR前の大動脈弁の形態的変化、CR後中期における生存、再介入、大動脈弁狭窄/逆流等の進行につき検討した。結果:IAA:7例、CoA:6例で、BPAB理由(重複あり)は大動脈弁7例、弁下4例、弁上1例、僧帽弁1例、左室1例、その他 7例であった。BPAB時日齢中央値3日(1-27日)、PAB時体重中央値2.39 kg (1.22-3.42 g)であった。大動脈弁は3尖:11例、2尖:2例で、弁輪径(Z value)はBPAB前:中央値 -3.58 (-7.46~-0.99)、CR前:中央値:-2.86 (-4.63~0.78)で有意な変化を認めた(p=0.043)。左室流出路径(Z value)もBPAB前:中央値-7.18 (-8.6.0~-0.58)CR前:中央値: -4.87(-4.6~0.78)で有意な変化を認めた(p=0.044)。BPAB-CR期間中央値22日(9-75日)、CR時日齢中央値27日(12-27日)、CR時体重中央値2.80 kg (2.48-3.38kg)であった。4例で大動脈弁下狭窄解除術、1例で肺動脈形成術を併施した。CR後経過観察期間中央値76ヶ月 (5~197ヶ月)で死亡例はなく、大動脈弁狭窄≧中等度:1例、逆流≧中等度:1例で、大動弁下狭窄:3例であった。再介入は4例で、3例が弁下狭窄解除、1例で大動脈弁狭窄に対してカテーテル介入を行ったが、手術介入は認めなかった。結論VSDを伴うIAA/CoAに対するBPABは血行動態の変化により、大動脈弁の潜在的能力を明らかにし、二心室治療可否の判断に有用となる可能性がある。