[P49-3] 機能的単心室症患者における横隔膜縫縮術が与える影響
Keywords:横隔膜縫縮術, 横隔神経麻痺, 単心室症
【目的】横隔神経麻痺は心臓術後の注意すべき合併症の一つであり横隔膜が弛緩し肺容量減少と奇異性呼吸をきたす。今回機能的単心室症患者における横隔膜縫縮術が与える影響に関して後方視的に検討した。【対象】2005年1月から2020年3月に当院で横隔神経麻痺に対して横隔膜縫縮術を施行した機能的単心室症39名を対象とし検討した。【結果】横隔膜縫縮時年齢は 8.3ヶ月(25日-22歳)、体重は6.6kg(2.1-37kg)、主心室形態は右27名, 左6名, 両側6名でDextrocardia 9名、Asplenia 5名に認めた。縫縮部位は右18名、左14名、両側7名。原因手術はBDG 14名(両側BDG4)、Norwood手術10名、TCPC 7名、体肺動脈短絡術 4名、TAPVR repair 2名、DKS, PAB,lung biopsy、TCPC takedown。 StagingはBDG前18名(46%)、BDG後からFontan 14名(36%)、Fontan後7名(18%)であった。Fontan前に縫縮術を経た28名中(死亡を除く)Fontan到達は22名(79%)で、Fontan術前のカテーテル検査では平均肺動脈圧15mmHg(11-23),EF 53%(40-65), 主心室拡張末期圧(EDP) 9.5mmHg(5-15), Rp 1.9(0.3-2.6), PAI 266(80-400)であった。Fenestrationは15名(68%)に作成。Fontan未到達(10名)のstagingはBDG前7名、BDG後3名であった。未到達理由としては死亡4名、take down 2名(PLE, 血栓)、気道病変、PVO、Rp高値、unknown。縫縮術を経たFontan患者の29名のFollow-up期間中央値5.5年(6.3ヶ月-14年)での遠隔期カテーテル検査は平均肺動脈圧11mmHg(8-33),EF 51%(33-65), 主心室拡張末期圧(EDP) 7mmHg(4-13), Rp 1.6(0.8-2.7), PAI 212(123-390)であった。【考察】当院での横隔膜縫手術の原因手術としてはBDG、Norwood手術を多く認めた。Fontan未到達群のstagingとしてBDG前に施行した患者が多く、いずれも横隔神経麻痺に起因するものではなかった。縫縮を経た患者でのFontan前カテーテルデータは主心室拡張末期圧がやや高いものの、遠隔期では各パラメータは概ね良好であった。