[P51-3] 術前PA IndexとTCPC術後循環不全の関連についての検討
Keywords:TCPC, フォンタン手術, PA index
【目的】術前PA IndexとTCPC術後循環不全との関連について検討した.【対象】機能的単心室に対して, 当院で2017年から2021年1月にTCPCを施行された159例.【方法】術前および術後(6ヶ月前後)時の, 心臓カテーテル検査によるPA Index(PAI), 上大静脈圧(SVCp), 肺血管抵抗(RpI), 心係数(CI)等を比較検討した. 死亡, fontan takedown, fenestration追加, 術後早期肺障害発症を failureとし, 術前PAIとの関連について統計解析を行った. さらに, 術後SVCp, RpI, CIと術前PAIとの相関について統計解析を行った.【結果】全159例の術前平均値は, PAI: 256.2±91.9, RpI: 1.20±0.52, SVCp: 7.67±2.12, CI 3.44±0.81だった. 術中fontan takedownが2例, 予定外のfenestration追加が2例, 早期肺障害が5例(うち1例で死亡)で, 計9例をfailure(F)群とし, 他150例をcontrol(C)群とした. F群の術前平均値は, PAI: 139.4±45.0, RpI: 1.04±0.52, SVCp: 8.33±1.80, CI: 3.46±0.65で, 術前PAI低値はfailureの危険因子だった(p<0.01). ROC曲線でのPAIのbest cut off値は, 159.53(特異度:89.9%, 感度:77.8%) だった. 術後カテーテル検査施行はC+F群あわせて129例で, その平均値は, RpI: 1.63±0.65, SVCp: 9.22±1.66, CI: 3.05±0.61だった. 術前PAIと術後SVCpには負の相関がみとめられた. (p<0.01). 【結語】術前PAI低値はTCPC術後循環不全の予測因子となりうると考えられた. ROC曲線のcut off値を考慮すると, 術前PAI<160は手術適応外の一指標となりうると考えられた.