[P53-3] 学童期における小児体外式補助人工心臓装着中の関わり方に対する一考察
Keywords:小児心不全, 補助循環, 病棟看護
【はじめに】小児体外式補助人工心臓(以下VAD)装着中は、創部処置や心臓移植後の生活を見据えた生活リズムを構築するために内服時間の順守や清潔ケアの実施など、患児が主体的になって実施していくことが必要である。今回VAD装着中であり言語理解指標が低い患児に対する療養行動の支援について検討した。【背景】10歳9カ月男児。2019年に左室心筋緻密化障害、拘束性型筋症でVAD装着。入院前に知能検査を受ける。言語理解指標が低く全IQは86の境界域であった。児はこだわりが強く言語によるコミュニケーションが苦手で創部処置や清潔ケアの受け入れに時間を要した。また、看護師の対応にも個人差があり患児との信頼関係が十分に築けていなかった。【方法】知能検査の結果より視覚からの情報入力が出来るよう一日の流れや約束事のポスターを作成し見える位置に掲示した。次にポイント制を導入し自分の出来たことをわかりやすくし意欲の向上に繋げた。そして、約束は心臓移植後の生活を見据えて主体的に取り組めるように患児と母と共に作成した。また、気持ちの切り替えに時間を要する時はタイマーを利用し時間の確保を行った。心臓移植の勉強会では、本人の理解に合わせた病識習得の援助を行った。【結果】患児の特性を理解したケア介入の方法を工夫したことで、処置や清潔ケアを主体的に受け入れられる事が増えた。また、統一したケアを行うことで看護師との信頼関係の構築にも繋がった。【考察】患児の特性を理解しそれに対しての関わり方の工夫したことが患児の行動に変化をもたらした。しかし、まだ予定通りに進められないこともあり、今後も多職種と連携し情報共有しながら患児にとってより良い方法を見出していく必要がある。【おわりに】VAD装着中で言語理解指標が低い患児対し、関わり方を工夫し患児の特性を理解したうえで患児が意欲的にケアに取り組むことができるよう介入できた。