[P54-6] 二心室修復の姑息術としての両側肺動脈絞扼術の治療有効性の検証
キーワード:両側肺動脈絞扼術, 二心室修復, 大動脈弓離断
【背景】近年、左心低形成症候群(HLHS)のみならず、心病変を合併した大動脈弓離断(IAA)/縮窄症(CoA)や総動脈管症(PTA)ハイリスク群に対する初回姑息手術として両側肺動脈絞扼術(bPAB)が行なわれている。【目的】当施設で二心室修復(BVR)への姑息手術としてbPABを行なった症例の治療成績を後方視的に検討する。【方法】対象は2004-2020年にbPABを行なった症例のうち、HLHS・類縁疾患を除く20例。診断はIAA/CoAが14例(合併心病変は13例が心室中隔欠損症(VSD)、1例が大動脈肺動脈中隔欠損症)、PTAが3例、大血管転移症(TGA)が2例、その他1例。IAA/CoAに関してはbPAB前後での心臓超音波検査結果を比較検討しBVRの適応について考察した。【結果】IAA/CoA症例でのbPABの適応は大動脈弁狭窄(vAS)または弁下狭窄(SAS)が9例、低体重2例、感染合併・脳梗塞合併・large VSDがそれぞれ1例。4例に単心室修復(UVR)、10例にBVRを施行。BVR群において2例はvAS(いずれもbicuspid)のためYasui手術が行われたが、8例ではarch repair+VSD閉鎖を施行。bPABによりUVR群では大動脈弁輪径はZ-scoreで-2.04±2.31→-2.46±3.59 (p=0.11)と低下したが、BVR群では-2.93±1.16→-2.5±0.79 (p=0.23)と増大した。SASの進行はbPABによる一定の傾向を示さなかった。PTA症例でのbPABの適応は1例がIAA合併、2例が低体重、2例は根治術に到達したが1例はbPAB後の循環不全のため死亡。TGA症例のbPABの適応はIAA/CoA合併であり、いずれも根治術に到達。【考察・結論】BVRへの姑息手術としてbPABは有効であった。IAA/CoA症例においてbPABはA弁の成長を促す可能性が期待される。