The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

多領域

デジタルオーラルII(P55)
多領域 1

指定討論者:権守 礼美(認定NPO法人 シャインオンキッズ)
指定討論者:長野 美紀(国立循環器病研修センター 看護部)

[P55-3] 出生直前に重症心不全により予後不良と診断された家族への関わり

久保 芽生, 坂井 香乃子, 鞍野 千晶, 西川 由花, 前川 由紀子 (国立循環器病研究センター 看護部)

Keywords:重症心不全, 悲嘆, グリーフケア

【背景】胎児診断の進歩によって、先天性心疾患は出生前に診断されることが増加している。これにより診断から出生までの間に様々な介入があり心理的受容がある程度できた状態で児の誕生に向き合うことができる。しかし出生直前に重大な心疾患が診断された場合には、両親は大きな衝撃の中で苦しい現実に直面する。その中で看護師は家族が受容できるように関わる必要がある。今回出生直前に重症心不全を診断された事例を経験した為報告する。【目的】出生直後に重症心不全と診断された患者の家族への看護介入を振り返る。【方法】診療録から後方的に情報収集を行い、予期悲嘆のプロセスから検討する。【結果】出生直後に予後不良と診断され、両親はただ児の顔を見つめるのみという1.衝撃の段階であった。面会時間を通常より多く設定し、両親や同胞と面会することで家族の時間を確保するようにした。児の病状に応じて実施可能なケアを提案し、実施した。顔を見ることが辛い、原因はわからないのかという2.否認の段階、その後何とかなるのではないか、できることは何でもしてあげたいけどこの子にとって良いことは何なのだろうかという3.苦悩する局面、今まで頑張っていることに感謝しかない、辛くないようにしてほしいという4.受け入れていく局面へと変化した。【考察】面会時間に家族と過ごす時間を確保し、看護師と共に児のケアを行うことは、両親の愛着形成の促進や親としての役割の獲得につながり、親子の関係性を築くことにつながったと考えられる。また、児の可能性を信じ治療を行うことで苦痛を与えているという葛藤の中で、最大限の医療と看護を行ってもらっていると感じられる関係性を構築できたことで、児がよく頑張ったと現状を受け止めることにつながったと考えられた。【結論】両親がどのように児と関わり過ごしていきたいかを共に考えケアを行っていくことで、児の状況を受け止めることにつながる。