The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

複雑心奇形

デジタルオーラルII(P8)
複雑心奇形 1

指定討論者:安藤 誠(金沢医科大学 心臓血管外科)
指定討論者:渡辺 健(田附興風会医学研究所北野病院)

[P8-3] 先天性心疾患を合併した超低出生体重児の臨床像と予後の検討

藤岡 泰生1, 杉山 隆朗1, 稲毛 章郎1, 中尾 厚2, 小林 城太郎3, 大石 芳久1 (1.日本赤十字社医療センター 小児科, 2.日本赤十字社医療センター 新生児科, 3.日本赤十字社医療センター 心臓血管外科)

Keywords:先天性心疾患, 超低出生体重児, 複雑心奇形

【緒言】CHDを合併した超低出生体重児(ELBW)の予後は明らかでない. 【目的】CHD合併ELBWの臨床背景と予後の検討. 【方法】2006年1月から2018年12月に当院NICUに入院したELBWの診療録からCHD合併例の臨床背景, CHDに対する治療介入, NICU入院中・退院後の経過を後方視的に検討した. PDA単独症例は除外した. 【結果】NICUに入院した629人のELBWのうち35人(5.6 %)にCHDの合併を認めた. CHD合併群と非合併群の在胎週数, 出生体重, 男/女比はそれぞれ28.5±3.2 vs. 26.1±2.3 週(P<0.001), 721±169 vs. 715±164 g (P=0.846), 15/20 vs. 309/285 人(P=0.303)であった. 染色体異常の合併率(13/35 vs. 1/594; P<0.001), Small for dateの比率(26/35 vs. 186/594; P<0.001)はCHD合併群が有意に高かった. NICU入院時の診断の内訳はsimple CHD(sCHD群)が20例(VSD: 15例; ASD: 4例; vPS: 1例), complex CHD(cCHD群)が15例(ASD+VSD: 1例; VSD+vPS: 2例; ASD+vPS: 1例; 完全大血管転位: 1例; TAPVC: 1例; 大動脈弓離断+両大血管右室起始(DORV): 1例; DORV+僧帽弁狭窄: 2例; DORV+僧帽弁閉鎖: 1例; DORV+vPS: 1例; ファロー四徴症: 1例; 三尖弁閉鎖: 1例; 大動脈肺動脈窓: 1例; 大動脈縮窄複合: 1例)であった. NICU入院中の死亡率は29%(10/35人)で, sCHD群とcCHD群に有意差はなかった(4/20 vs. 6/15, P=0.266)が, 染色体異常合併例では非合併例に比べ有意に高かった(7/13 vs. 3/22, P=0.020). sCHD群でフォロー中の13人中, 7例は手術介入不要と判断され, 6例中5例は根治術に, vPSの1例はカテーテル治療に到達した. cCHD群でフォロー中の9人中, 7例は根治術に到達し, 1例はvPSに対するカテーテル治療後VSDの狭小を認め, 1例は根治術待機中である.【結語】CHDを合併したELBWでは染色体異常の合併率が高く予後不良因子と考えられた. 複雑心奇形でも根治術に到達できる可能性はあり, 症例毎に治療戦略を立てることが重要と考えられた.